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WEBとかビジネス時々育児

ベネッセの国内教育売上2000億がスゴすぎる件。それを支えるビジネスモデルとは!?

Fintechにはさすがに勢いが押され気味なEdtechですが、まだまだここから様々なサービスが誕生する(してほしい)と考えています。
「戦うならまずは敵を知れ」ということで本稿では言わずと知れた教育業界のドンであるベネッセのビジネスモデルについて分析します。

 

ベネッセの歩み

もともとは1955年に「福武書店」として創業。
1962年に高校生向け「関西模試」(現進研模試)を開始。
1969年に現在の売上の柱である進研ゼミを開始しています。

主力事業である進研ゼミの国内会員数は245万人(2017年4月)。
海外会員も含めると合計でおよそ400万人の会員を抱える規模に成長しています。
1995年には介護事業も開始しており同社の売上の1/4程度を支える規模に成長しています。※ちなみに英語教育のベルリッツもベネッセ傘下。

 

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同社公式サイトから引用

 

国内教育事業だけで2000億を超す売上があります。

ベネッセのビジネスモデルと強み

売上の大部分を支えている国内事業を中心に同社の強みについて考察したいと思います。

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・ダイレクトマーケティングが特徵

ベネッセの特徵といえばやはりDMを使ったダイレクトマーケティングモデル。
年間約100億円のコストを投じています。

様々なチャネルから顧客IDを獲得し、DMで継続アプローチ。顧客化すれば進研ゼミもこどもちゃれんじも継続モデルなので継続期間が極端に短くならない限りは1顧客獲得あたりのコストを一定に抑えつつどこまで人数を獲得できるか、というマーケティング主導のビジネス。

教材開発の費用やDMを配送するためのDMセンター(工場的なやつ)を維持する固定のコストは変わらないので一定の変動費(教材送料や赤ペン先生の委託料など)は増えるものの生徒が増えれば触れるほど利益率は増えます。

同社の国内教育会員数に占める未就学児の割合は約30%。ただし小学校に入学するタイミングでこどもちゃれんじ→進研ゼミと転換するパターンは相当数いるのでは?と考えられます。そう考えると同社にとってはいかに未就学児のタイミングで囲い込めるのか、というのは重要なポイントになります。

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同社決算説明書より引用

 

・顧客ID獲得のための様々なチャネル

 獲得のチャネルはオンライン、オフラインいずれも実施していますが取り分け同社の特徵ということでいうとオフライン中心に触れたいと思います。

-イベントなどを実施

こんな感じでしまじろうのブランド力を活かしスタンプラリーイベント等を実施しています。筆者自身は遭遇したことはありませんがネットの声をみていると動物園などターゲットユーザーが集まる場所で小規模なアンケート等も実施しているようです。

-各種プレゼントキャンペーン

お子さんをお持ちであればピンとくる方も多いのではないでしょうか。 筆者もこれは家にあります。子供の誕生日と名前を入力して応募すると赤ちゃんの名入り(表紙とか本文とかにも反映されます)の絵本が無料で届きます。

確かうちは産んだ病院から入院中に渡されるグッズの中にチラシか何かが入ってて登録した気がします。ネットを見る限りそうしたママの声がそれなりにありましたのでもしかしたらウィメンズパーク等で持っている産婦人科ネットワークを活かして提携しているのかもです。

絵本以外にも人気キッチン用品メーカーのル・クルーゼとタイアップした無料プレゼントキャンペーンなど色々と展開しています。

-たまごくらぶひよこクラブでのアンケート

同社は育児雑誌として発行部数NO1のたまごくらぶひよこクラブを運営しています。
妊娠段階からユーザーに接点を持っているのは非常に強みです。

-ウィメンズパーク

会員数597万人の日本最大級の女性限定口コミサイト。
特に病院探しコンテンツが人気のようです。

とくに病院探しコーナーが人気で、 掲載医院数 約118,900医院(※1)! 病院口コミも充実! ※1 2016年5月時点でウィメンズパークに掲載されている医院数の概算です。

 同社発表によると年間143万人がウィメンズパーク内で病院検索を行っているようです。

「産婦人科・病院の体験談を大募集 抽選で図書カード3000円」のような導線でID獲得につなげています。それ以外にも会員登録導線は色々とあるはずです。


・しまじろうのブランド化

マーケティング効果を高めるためにも、幼児用教材として子供に興味をもたせるためにもしまじろうはとてもうまく機能していると思います。

□マーケティング・・・
アンケートに回答でしまじろう◯◯をプレゼント

□教材としての魅力・・・
教材DVDながす→しまじろうとおねえさん登場→あかちゃん食いつく→ママ「けっこう気に入ってっぽいから契約しようかな」

しまじろうをブランド化するためにかなりの投資をしていると考えられます。
TV番組や映画まで展開していますから。
※もちろん単体のビジネスやグッズ販売などでもとは結構とれるのでしょうが。


バンダイが毎年実施している調査によると「好きなキャラクターランキング」のTOP10入りしています。

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以上ベネッセの売上を支える国内教育事業の強みについてでした。

2014年の個人情報漏洩事件で一度は売上を大きく落としたものの、現在では下げ止まっています。

ターゲット層はことなるもののリクルート社スタディサプリの会員数が33万人(2017年10月時点)売上は公開されていないものの単価990円から考えると年間40億程度の売上なのに対してベネッセの2000億はやはり現時点では圧倒的ですね。

今後も同社がこの領域を取り続けるのか、あるいは既存競合・まだ見ぬスタートアップが現れるのか。今後も業界の動きに注目したいと思います。

 

オンライン学習の「すららネット」上場。ビジネスモデルと今後の伸びしろについて考察

2017年12月にすららネットがマザーズ上場を果たしました。
翌年1月3日時点で時価総額は40億弱と、若干小粒ながらもリクルートのスタディサプリを筆頭に盛り上がりを見せるオンライン学習領域プレーヤーであり気になる存在です。上場時提出の1の部を中心に彼等のビジネスモデルについて色々考察します。

どんな会社のどんなサービス?

すららネット株式会社はゲーム感覚で学習出来るe-ラーニング事業「すらら」を提供している会社です。もともとはベンチャー・リンクという会社の新規事業でしたが、2010年に現すらら代表の湯野川氏が株式を買取MBOが成立。現在の株式会社すららネットが誕生しています。すらら自体は2005年から企画・開発が行われており、スタディサプリの誕生が 2011年であることを考えるとだいぶ早い時期に開始していたんだなということがわかります。2017年9月末段階で導入校数693利用者(ID)数49820に至っています。

すららネットのビジネスモデルとは?

すららは下記図解の通り塾や学校に対して提供するケースと個人に対して提供する ケースの2つにわかれますが基本的に現状は前者がほとんどです。

 

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・売上利益の推移

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 H29数値に関しては3四半期分から算出した参考値です。
利益率はおよそ15%弱と高いわけではありませんが順調に前年比20%程度で成長を続けています。


・売上の大部分は塾に対してのすらら提供

一の部に記載のある提供者別の売上をみると 売上の大部分は塾が占めていることがわかります。

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 ※一の部をもとに筆者が作成
導入校数は年末時点の数値を記載して計算しているので実際の単価は上記表とは異なりますがおよその金額感はこの通りです。

・加盟金をとらずに塾の開業支援

同社は物件探し、資金調達支援、集客ノウハウの提供など 塾の開業支援も併せて行っています。参考リンク:https://entrenet.jp/dplan/0000954/

 ただし一般的なプランチャイズと違い初期で多額の加盟金をとらずに支援をしています。これは代表のポリシーがみてとれる部分です。

・加盟金 学習塾はどうしても最初は赤字、徐々に生徒数が伸びるごとに収益が上がるモデルのため、立ち上げ直後の集客もままならない時から高い支払い義務があると、経営そのものに影響が出る。

・ロイヤリティ 月々のスーパーバイザーの経営支援の対価として発生するロイヤリティですが、これについても学習塾では必要ないと判断しました。なぜならコンビニや飲食のように定期的な商品開発が必要な業態と異なり、学習塾経営は毎年の基本的な年間のスケジュールは同じものになります。

その結果私たちは、様々な名目でお金を取ることよりも、 「教育格差をなくす」というすららの理念の実現に賛同 してくださる方の経営を軌道に乗せたいと考え、あえてフランチャイズ形式を取らないことにしたのです。

同社公式サイトより:http://suralajuku.jp/contents/column01

  
すららネットの今後はどうなる??

理念をしっかりと掲げてそれに沿った事業展開をしている点は筆者としては好印象です。海外事業にも力をいれているものの現在の貧困学力低層向けは単価の問題から 収益性の部分ではイマイチであろうことからまずは日本におけるメインターゲットである塾への導入シェアを高めることが優先度が高いと想像されます。

少し古いデータですが、H20文部科学省の発表ににある小中学生の通塾率から推測すると小中学生だけでも350万人程度が塾を利用しています。高校生の予備校利用者を含めると400万人はくだらないでしょう。

すららの塾ID数は1.4万程度ですからIDベースでみたシェアはまだ1%未満ということです。ということはマーケットサイズ的にはまだまだ今後伸びる余地はありそうなものの同社の学習塾向けの売上の成長が前年成長でH27→H28で11%程度であることが気になります。

もちろんマーケティング・営業を強化することは前提ですが、一番は彼等が考える教務部分は塾の講師が提供しない、という考え方がどこまで浸透するかということなのだと思います。すらら導入校が実績をあげていき、「教務はオンラインソフトで」という考え方をスタンダードにできるかどうかがポイントでしょう。


以上すららネットの分析でした。
何かコメント等あればぜひお願いします。それではまた今度。

 

介護業界クラウドのカナミックに学ぶ業界特化型SaaSのビジネスモデルと戦い方

2016年月マザーズ上場のカナミック。日本では数少ないVertical(業界特化型) SaaS企業であるため分析をしたいと思います。SaaS系サービスを提供している方はぜひ一読ください。

どんな会社のどんなサービス?

カナミックは「超高齢社会の地域包括ケアをクラウドで支える」という経営理念のもと、医療・介護事業者あるいは被介護者がリアルタイムに情報共有ができる「カナミッククラウド」というICTプラットフォームを提供しています。2000年創業依頼介護・医療領域に根を張っている企業です。

元来介護という領域は医師、介護事業者、デイケアサービス提供者など色々なサービス提供者が存在する領域ですが、全体的にデジタル化の進みが遅く、それが故に被介護者の情報の一元化ができていないため各事業者の情報連携も進んでいませんでした。カナミッククラウドはこうした状況を改善するために提供された解決策です。
サービス提供開始から徐々に利用ユーザーを伸ばし、いまでは日本全国で4万を超えるユーザー(事業者)に利用されるまでに至っています。

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新規上場申請のための有価証券報告書(Iの部)を参考に筆者が作成


カナミックのビジネスモデル

カナミックのビジネスモデルを整理すると下記のようになっています。

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前述したカナミッククラウドを通じた医療・介護事業者へのクラウドサービス提供に加えて、利用ユーザー(B:事業者+C:被介護)に対して広告を配信する事業も展開しています。カナミック利用ユーザーが増える→広告媒体価値をあがるという考え方ですね。

基本的にはカナミッククラウドでの収益が大半ですね。

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新規上場申請のための有価証券報告書(Iの部)から引用


売上利益の推移を見てみると上場時で売上10億の営業利益2億。SaaSの40%ルール(売上対前年増+営業利益率>40%)に照らし合わせても問題のない堅調な伸びです。

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新規上場申請のための有価証券報告書(Iの部)を参考に筆者が作成


カナミッククラウドの導入戦略がなかなか上手

同社の言葉を借りるとカナミッククラウドは2階層の仕組みになっています。

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2017年9月期(第17期)決算説明資料より引用

 

1階層部分が介護事業提供者に対しての業務支援システムであり、2階層部分が情報共有システムの提供です。

カナミックは介護事業者を1つずつ点で攻めるのでなく、自社独自の情報共有システムを売りにしてエリア単位でサービスの導入しその後当該エリア内事業者に1階層部分の導入を勧めます。決算説明会でもそういった旨の発表がありました。

地域を面で入れて、その面の中からどんどん医療介護従事者の方々の業務システムをリプレイスしていただいて、面を取った後の1階のリプレイスをしていくというのが、我々のビジネスモデルでございます。その地域ごとの、ドミナントでの連携をどんどん高めていってよくしていくというところが、我々のビジネス戦略でございます。

 引用元:http://logmi.jp/248741

 なかにはすでに他社の業務支援サービスを利用している事業者もあるでしょうが、すでに情報共有システムを自治体や病院などが導入しているため、「それなら業務支援システムもカナミックにしたほうがいいか」となる流れです。実にうまい。

vertical (業界特化型)SaaSの場合業界標準のクラウドサービスがまだ無く、競合はオンプレミス(自社PCインストール型の非クラウド)というケースもまだまだ多く(特にニッチ業界の場合)、プロダクト力にすぐれたクラウドサービスをつくったらあとはマーケティング×営業をきっちり展開すればまずは利用社数は増やせるというのがシナリオかと思います。

完全に筆者の推測になりますが、介護系の事業者の場合「クラウド化されて便利かもしれないけど現状のやり方を変えるのが嫌」という現状維持意識が強く上記のようにはいかなかったのではないでしょうか。

そのため前述のとおり2階層の仕組みにし、各事業者の連携を売りにした戦略にしているのだと感じました。

同社はすでに柏市を対象に東京大学と提携し、街一体となり自治体・各種介護事業者がつながるモデルケースを作り上げています。また、業者間の連携システムに関しては特許取得済みとのことで他社がここから追いつくのは非常に困難なのだろうと思います。


カナミックの今後について勝手に考察

カナミックは今後もまだまだ伸び続けると思います。理由は2点です。

1.そもそも今後介護が必要な人が爆増

同社決算説明によると今後数十年かけて介護を必要とする人間がぐんぐん増加していきます。ざっと15年で1.5倍。30年で倍といった感じでしょうか。

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2017年9月期(第17期)決算説明資料より

 

それに応じて当然介護事業所も増やす必要があります。
同社発表では2025年には現在の倍近い介護事業所数になるとのことです。

また、もしこうしたマーケットの成長がなかったとしてもカナミッククラウドの現状のマーケットシェアは5%。同社のサービスの強さを考えるとまだまだシェアを伸ばせるはずです。

2.各種プレーヤーが連携し一体となって介護をする、という考え方を国が本格的に推進をはじめる

2015年に介護保険法が改正され、各種自治体は地域の医療・介護を連携させていく取り組みを自治体主導で行わなければいけないとのこと。

つまりカナミック社が提供している連携モデルは「今後そうしていったほうがいいよ」という同社の未来に向けたテーゼではなく、そうしなければいけないという国からのお達しなのです。こうした状況のなかで柏モデルのような先進事例が意味をもってくるのはいうまでもないでしょう。

以上2つの理由からカナミックはよほど失敗しない限り安泰なのではないかと感じました。マーケットの今後の変化を随分前からきちんと見通してプロダクトと導入戦略をつくりあげた感が強いです。

あらためてVertical SaaSは業界の経験&業界洞察力をもつことが本当に大きな意味を持つなと感じました。

メディアビジネス好きの筆者としては同社が提供する広告配信事業も気になるところです。現状は売上全体の5%以下と影響力薄で、このままでは利用者が数倍になっても同社にとっては大きな売上ではないかもしれません。

が、無料でのサービス開放領域を増やして利用ユーザーを増やす、あるいは商品の販売やマッチングなど広告でない新たなマネタイズモデルを確立できればこちらもこちらで面白そうだなと感じます。

いずれにしろ今後が気になる企業です。
以上カナミックのビジネスモデルについての勝手な考察でした。
何かコメント等あればぜひ個別でもお願いします。
それではまた今度。

仮想通貨を用いた新メディア「ALIS」は何が新しいのか考察

最近仮想通貨の普及に伴いそれ自体の売買にとどまらず色々なサービスにエッセンスが応用されだしています。本稿では仮想通貨とそれを支える技術を用いてメディアの新たらしいあり方に挑戦をしている「ALIS」について取り上げます。

どんなメディアなのか?

ALISは簡単にいうとコンテンツの書き手とコンテンツの評価者に対価として仮想通貨が支払われるメディアプラットフォームです。

昨今Googleのコンテンツ評価の仕組みをハックしたグレーなキュレーションメディアやアフィリエイトサイトの氾濫により低品質サイトにあふれた現状を打開するためのテーゼとして打ち出されました。

従来のメディアにありがちな広告のためのコンテンツ、ステルスマーケティング、信頼性の低い情報に うんざりしている人々を解放することがALISの目的です。

同社公式サイトより引用:https://alismedia.jp/ja/index.html

 サービス自体はまだ計画の段階で現在目下開発中のようですが、ICOを目指す中でその発想のユニークさから話題をよび注目を集めています。2017年9月にICOによる4.3億円の資金調達を成功させたとのこと。

実際にはどんな仕組みなのか?

ALISは実は世界的に見ると初の試みというわけではなく、先行する海外サービスである「Steemit」https://steemit.com/ が存在します。

2016年に立ち上がり、2017年後半段階で400億円近い価値のついているサービスです。
記事執筆の2018年1月段階では日本語のサポートも開始しているようですがまだ日本語記事は少ないようです。

ALISがSteemitに深く感銘を受け大いに参考にしており、その点については同社が正式に公表しています。

正直に言うと、我々はSTEEM(https://steem.io)に大きな感銘を受けたところからこのプラットフォームの構想をスタートした。

同社ホワイトペーパーより引用

https://alisproject.github.io/whitepaper/whitepaper_v1.01_ja.pdf

Steemitについての説明は下記のブログに詳しいので本稿では説明は割愛させていただきます。 

広告収益に依存しないWebメディアの新モデル「Steemit」とは

Steemitではコンテンツ作成者およびコンテンツ評価者に対して付与される仮想通貨の区分が複数存在し複雑なのに対してALISは1種類の仮想通貨に統一しわかりやすいです。

Newspicksでも5000pick以上され大いに話題になっていたチャーリーさんのブログでも図解されていましたがこのような仕組みです。(チャーリーさんの図解を拝借します)

 

 個人的には「売上」というものが存在せずALISの通貨としての価値が高まることでコンテンツ作成者と評価者に継続して支払いを可能にする、という考えが「なんと、そんなこと可能なんだ」って感じです。

何が革新的でメディアの何が変わるのか?

 仮想通貨を用いているという点ですでに斬新な香りに満ちていますが、ここではALISをメディアプラットフォームとして考え、機能を分解し同サービスがどういった点で既存のサービスと差があるのかについて考察をしたいと思います。

 考察をするにあたって、コンテンツの生産(調達)・流通の両方の機能を持ち合わせているプラットフォームを「完結型」。そのいずれかが欠けているものを「非完結型」とし、下記のように整理しました。

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いくつかALISにとって大事そうな論点についてまとめました。

1.流通補完プレーヤーをうまく囲い込めるか

非完結型として挙げたnoteは強力な流通機能を独自に持っていません。(noteが独自で読者候補を集客してくれるのでなく生産者が各自のブログやSNS等で集客していますよね。)

先行するsteemitをみてもそれ単体で強い集客力を持っているとは思えませんのでおそらく非完結型に区分されるかと思います。

noteユーザーを見ていてもわかりますがthestartupの梅木さんやイケダハヤト氏、あるいははあちゅうさんなど元々ネットにおける著名人で各自のブログやSNSで集客が可能なプレーヤーが好んで使用している印象です。ALISにおいてもこうした人たちにどう参加してもらえるかがポイントかと思います。

2.コンテンツ作成者をどのように獲得するか

noteを見る限り基本的には個人のコンテンツ作成者が多い印象です。
noteにサイゾーを見つけましたが普段あまりその他例を見かけないなと感じています。

※有料でオンライン販売することが本体の記事や雑誌との兼ね合いでうまくバランスがとれないのでしょうか?

またsteemitをざっとみるかぎり個人の書き手が多い様です。 おそらくはブログやメルマガよりも収益性が高いために利用しているのでしょうからAlisにも同等の収益性が期待されるのかなと思います。

最後に

 仮想通貨熱がどんどん加熱しているなかでそれとメディアビジネスをうまく接続しようと挑戦している点はすごく面白いと思います。最初は仮想通貨メディアからスタートしていずれはすべての口コミメディアをディスラプトする気概のようですので今後が気になります。

うまくサービスが初期で軌道にのるかどうかに関してはおそらく上記で挙げたネット上のインフルエンサーをうまく賛同者として集められるかがポイントかと思いますが先日開催されたミートアップでのスライドをみるかぎりしっかりと意識できているようです。

※その点に関してはこちらのブログが参考になります

ALISのICOで約4.3億円調達!ミートアップに参加してきた | ポインの仮想通貨ハマって(中毒って)ます!!

 ※個人的にはLINEの田端さんあたりは声がかかっているのかな、と勝手に想像しています。

 まだまだ仮想通貨自体が真新しいものであるため最初は一部のユーザーの利用にとどまるでしょうが、noteの「読む前に課金」という形式に対してALISが目指している「よいコンテンツをユーザーが選ぶ」のどちらが受け入れられる(あるいは共存する)のかが気になるところです。

以上ALISについての勝手な考察でした。
2018年4月にベータ版OPEN予定のようですのでそのころに再度取り上げたいなと思います。それではまた。

みんな知ってる?Rizapは売上1000億、営業利益100億企業。急成長を支えるビジネスモデルを分析

いろいろなメディアで分析しつくされている感が強いライザップであり本ブログでとりあげるにはちょっと今更感があるかもしれませんが、自分の身の回りで話題にあがる機会が何度かあり気になって色々調べたのでまとめます。

そもそもどんな会社

現在はライザップグループとしてプライベートジムの「Rizap」をはじめ、アパレル、出版、エンタメ、など各種事業を傘下に収めてる企業ですが、もともとは2003年に健康食品の通販会社としてスタートした「健康コーポレーション株式会社」が前身となっています。2006年に豆乳クッキーがヒットしてこの時期にすでに売上100億円に到達。

この商品は当時楽天で1600万ほどある商品のなかで一番販売された商品とのこと。すごい。プライベートジムである「Rizap」を開始したのが2012年4月。開始約5年で会員数9.5万人。グループ全体の売上は1000億近くまで到達しています。ここまで儲かっていたとは・・・。

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Rizapのビジネスモデル

傘下にたくさんの子会社を抱えているため主事業であるプライベートジム(ボディメイク事業)にフォーカスして考察します。

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基本的には世間一般の方がイメージしているプライベートジムのライザップに美容、健康、アパレルなどの各種通販がくっついたイメージです。主な特徵として下記2点が特徵としてあげられるのではないでしょうか。

①競合と異なる収益コスト構造

一般的にジムは設備にとてもお金がかかります、しかも立地が非常に大事なので駅前等の一等地にあったりするので家賃も高く、実は利益率が低いビジネスです。

しかしライザップは設備という意味では最小限。完全予約性なので無駄に広いスペースの確保もいらず、そもそも立地がよくないと通わないというお客様を相手にしていないので(むしろ入会の順番待ち)家賃が安い。その為高い利益が確保できるのです。

そこで獲得した利益をマーケティングに投資してブランディング・新規獲得。そして人材に投資して高いリピート性と口コミ発生により更なる新規獲得をうんでいます。

 事実同社の発表によると新規会員のウチ30%が口コミ経由のものであり会員のサービス満足度の高さが伺えます。

※確かに友人に「RIZAPめっちゃよかったよ」と勧められたら僕もちょっと興味わきます。

②MAを積極的に行い赤字企業を再生

この点が個人的には全く知らなかったことなので驚きでしたが、RIZAPはとてもMAが上手な会社です。大きなものだとアパレルのジーンズメイトなんかも実はグループ傘下の子会社になっています。実は上場したての2007年にはすでに色々とMAを繰り返していたようですが、ちなみに2013年以降の案件については下記。

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実際に買収を行った各種事業はこんな感じで黒字化しています。

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どうしてここまでうまく再生できるのか。詳細は計り知れませんが、代表の瀬戸氏の

われわれは開発からプロモーション、 販売までを一気通貫で行ってきましたので、 ノウハウや顧客データも蓄積されています。 M&Aにおいても、この強みを生かせるドメインに進出しているのです。
引用元:
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1705/10/news011_2.html

という発言から推測する限りうまくシナジーを期待できる会社をうまく選定し再生しているようです。

わかりやすいシナジーを1つご紹介します。

例えば矯正下着を販売しているMARUKOは女芸人を起用したRIZAP風のCMを作成していて、マーケティング面でもそうですし、おそらくRIZAP会員への販売も可能だと思うのでうまくシナジーを発揮できていますよね。

グループ企業のなかでも1番のV字回復を見せた企業です。上記表にも記載がありますがもともと赤字2億だったものを1年で10億円近い利益までもっていけそう、というのはすごい。

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https://www.youtube.com/watch?v=J5iZIZ7EFfU

また当然シナジーだけでなく事業単体でみた際に合理化ししっかりと黒字化をできる事業人材を抱えているのだと思います。事実元ファーストリテーリング執行役員をはじめ、一流人材の獲得にも成功しているようです。

つまり簡単にいうと「突き詰めれば黒字化できるけどうまく経営できていないから赤字になってしまっている企業を買収し、グループシナジーも用いて早期に黒字化させる」って感じでしょうか。
※過去MAの振り返り、及び買収先企業の業績については2017年3月期第2四半期決算説明会資料から転載

今後もRizapは成長し続けるのか?

同社の戦略を簡単にまとめると下記のようになるかと思います。

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ボディメイク事業はまだまだ伸びそう

現在国内外あわせて150店舗弱とまだまだ飽和した状態ではないと思います。

同じ業態ではありませんがフィットネスクラブ・フランチャイズのANYTIMESが2017年10月時点で国内250店舗2020年目標が500店舗

カーブスなんかは中高年向けに展開していても全国で1700店舗です。

 

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2018年3月期第2四半期決算説明書から引用

 

おそらくトレーナーの育成の仕組みはすでに確立できているため、質を落とさずトレーナー獲得できればボディメイク事業は手堅く成長する。安価にリプレイスを図ったり、よりバーチカルに特定ターゲットだけを対象にする競合も現れる(というかもういる?)でしょうが大きな脅威にはならないのではと思います。運営ノウハウに加えて今まで投資してきたマーケティングコスト、満足度の高いサービスから発生した口コミの累計が彼等の資産として積み重なっているので簡単には抜けない存在になっています。

ボディメイク以外の新規領域に関しては、「トレーナーのコミュニケーション能力を売りに独自メソッドを提供し二人三脚のたよれる存在になる」という観点では現在テスト的に展開をしているものの中でも特にゴルフなんかはよさそうだなと感じます。その他英会話、クッキングも含めて良い講師候補の獲得がまずはキモになるのかなと思いますがその点でいうとボディメイク事業はどうやらトレーナー未経験者を採用して育成したようですがゴルフや英会話はそうはいかない気がします。が、現在すでにそれが可能なフリーや他社保有の人材がいそうだなと思うので立ち上がりはイメージがつきます。

・データ活用物販に関してはまだ成功のイメージがわかない

同社が得意とする赤字企業のMA→再生については今後も余地がありそうだし、グローバルSPA構築についてはその道の専門家を招集しているため順調に成長するのではと思います。個人的には「データを活用した最適コマースの提供」がどこまでうまくできるのかが気になるところです。現在も10万人近い会員を抱えるRIZAPですがそのうち何割がRIZAP提供の商品を購入しているかは今回のリサーチでは見つけることができませんでした。とはいえ仮に10万人全員が年に10万円使っても年商100億。現在のRIZAPからしたら大きな金額ではありません。RIZAP会員だけでなく買収先が持っている会員資産を統合していき会員母数を増やしていかないとダイナミックな数字にはならないかなと。ただしAI的なレコメンドがかなりの精度だったとしても提供元のブランドに信頼がないと機能しない気がします。RIZAPは信頼がほぼMAXでしょうが、グループ企業のすべてがそうではないと思うのでこのあたりを今後どのように解消するのか(あるいはそもそも問題にならないのか?)気になります。

まだまだ今後具体化していくのだと思いますがぜひ「こういうことだったのか」と思わせてほしいなと思います。

以上RIZAPのビジネスモデルについての勝手な考察でした。
何かコメント等あればぜひ個別でもお願いします。それではまた今度。

ご相談受付はじめました

ブログ読者の方から事業の相談をいただく機会がちょっとずつ増えてきました。
普段の会社の事業とは別の世界のことを知ったり考えたりするのはとても自分にとって良い刺激になっています。
※なにより出不精な自分にとってあちらから「会いたい」といってもらえるのは非常にありがたいです。

このブログは基本的には私が個人的に知りたいな、と思ったことを調べてまとめている記事が大半なのでよいネタ探しにもなります。

より深く交流を図るために平日のランチタイムを利用して「事業について意見がほしい」という方の相談にのりたいと思います。

※先日「KOMUGI!」というブログを発見し、その企画がとてもよいなと思い私も真似させていただこうと思います。

本ブログを読んで私の特性を理解していただければ幸いですがざっと記載をしておくと

渋谷にあるITベンチャーで新規事業を担当
・Webメディア事業の新規立ち上げ、グロースをしています
・検索エンジンマーケティング(SEO)に詳しいです
・コンテンツマーケティングという手法が好きです

です。
特にWebメディア事業に関してはそれなりにシャープ目なお話ができるのではないかなと思います。

もし興味のある方は下記からご連絡ください。

info@khayashi.com

※ご相談したい内容と希望日時をご連絡ください。

 

上場はてなのビジネスモデル | ちょっと気になるコンテンツマーケティング事業解説


東京証券取引所マザーズ市場への新規上場承認に関するお知らせ - プレスリリース - 株式会社はてな

 

またまた書き出しが遅れて今更感のあるテーマですが、はてぶろユーザーとしてここは避けられないかと。ということで今回は2016年1月に上場承認が発表されたはてなの事業分析を通して今後の彼らの展望にせまりたいと思います。
基本的にはIの部に記載されている情報をもとに執筆します。

 

株式会社はてなのこれまで

いわずと知れた「はてなブックマーク」の運営元である株式会社はてなですが、その歴史は平成13年の設立までさかのぼります。
平成15年にはブログサービス「はてなダイアリー」を、そして平成17年に「はてなブックマーク」の運営を開始しています。

太古の昔から存在していたように感じるはてぶですが、まだ10年もたっていないんですね。アメブロが2004年からサービス開始していたことを考えると実は思っていたより若いサービスだな、というのが個人的な感想。

参照:アメーバブログ - Wikipedia

 

ブックマーク、はてぶろ以外にも、写真・動画共有サービスの「はてなフォトライフ」、QAサイトの「人力検索はてな」を運営しています。
はてなはこれらサービスをユーザーが作り出すサービスという意味で、UGC(UserGeneratedContent)とよんでおり、現在それらの累計で450万の登録ユーザーを抱えています。

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・はてなを支える3つの事業セグメント

はてなというと上記でふれたUGCサービスの印象が強いですが、実は下記のように。UGCを含め3つの事業の柱を有しています。

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・コンテンツマーケティング事業

Iの部で「コンテンツマーケティング事業」を大きく謳っているのは私の記憶にある限り、イード社に続き2社目でしょうか。(ちがってたらごめんなさい。。)

彼らの言葉を借りると、コンテンツマーケティングとは・・・

顧客の新規獲得や関係性維持のために、メディアやコンテンツを作成したり共有したりするマーケティング手法のことです。

具体的にどのようにはてな社がコンテンツマーケティングの支援をしているかというと、はてなブログのようなCMSを利用して企業にオウンドメディアを制作し、ニーズがあればはてなブログ利用ユーザーをライターとしてあっせんする、という内容ですね。
編集などについてのアドバイスもしているようです。編集についてはそんなに強いイメージはありませんが。

実際の事例として見つけることができたのは下記のような事例です。

 

▼リクナビNEXTジャーナル

next.rikunabi.com

 

▼ぐるなび運営「みんなのごはん」

r.gnavi.co.jp

 

▼楽天運営「それ どこで買ったの?」

srdk.rakuten.jp

 

▼「それ どこで買ったの?」にてはてぶろユーザーが寄稿している例。

srdk.rakuten.jp

500以上のブックマーク、3000を超えるFacebookアクションが発生しています。

下記のブログにあるようにはてなさんが直接ブロガーの皆さんに声掛けしていっているようですね。

topisyu.hatenablog.com

 

はてなブログの利用ユーザーは書き手であると同時にはてぶ内、あるいはSNSで拡散力を持ったインフルエンサーでもあることが多いので、こうしたコンテンツ作成者を供給できるのはコンテンツマーケティング事業を展開するうえで同社の大きな強みの1つであるといえるでしょう。
(残念ながらまだ私には声がかかりません。無念です。)

また、はてなが所有する各種メディアから広告を使って、クライアント企業のコンテンツを露出・ユーザー送客が出来る点も自社でメディアを抱えている彼らならではの強みですね。

 

・コンテンツプラットフォーム

これがUGC事業ですね。
収益としては有料ユーザー課金+広告(アフィリエイト)の2つのようです。

・テクノロジーソリューション

同社がUGCメディア運営で培ってきた技術力をもとにした事業。主に

a.サービス受託開発
b.ビックデータサービス
  └広告配信先として不適切とみなしたサイトにDSP広告を出さない、「アドベリフィケーション」という技術をDSP事業者に提供。
  └クラウドサービスの負荷状況を監視できる、「Mackerel(マカレル)」。

上記の3つの事業それぞれの売上についてはIの部にある通りで、ほぼ三等分になっています。

 

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長らく続けてきたUGCサービスをベースにその他2つの事業を始めた(特にコンテンツマーケティング事業については)、という背景だと思いますのでまたまだ真価が問われるのはこれからでしょう。

※任天堂単体で3億円近い取引がるのはすごいですね。依存度が大きい気がしますが大丈夫なんでしょうか。

 

ビジネスモデル

今回は彼らの3つの事業の柱の1つであるコンテンツマーケティング事業について、そのビジネスモデルを図解し分析してみます。

 

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財務諸表分析

・【PL】売上&利益率

売上と利益率の推移は以下のようになっています。

 

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売上は10億円強と小ぶりなものの、20%を超える営業利益はさすが元祖UGCメディアといったとこでしょうか。直近数年で大きな成長をとげているとは言い難いかもしれません。
直近で立ち上げた2つの受託事業で手堅く売上を伸ばしにいっている、というところでしょうか。

・BS

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http://www.yutorism.jp/entry/hatena

こちらのブログを参考にチャートを作成させていただきました。

 

細かい解説は割愛しますが、

買掛金のみの流動負債、いわゆる無借金経営、流動資産も大部分が現預金と非常に安全性の高い財務構成のようです。



まとめ

すでにキャッシュリッチな体質であり、

上場してどこに資金を投下するのか個人的にはちょっとわかりませんが今までベールに包まれていたはてなの全貌が明らかになって面白かったですね。


システムの受託に関してはどこまで伸びるのか(今でもすでに任天堂さん一極ですし)わかりませんが、個人的にははてなのリソースを使ったコンテンツマーケティング事業をどこまで拡大していくのか気になるところです。

時価総額予測20億きってるってどうなのよ?という意見も出ているようですが、

1億の当期利益予想でも時価総額18億円。。。これは稀に見る寒さ。ここ最近、東京も寒いですしね。この水準の寒さは2014年6月のレアジョブ公募時時価総額22億円以来の寒さです。

はてなの上場承認に?(はてな) | The Startup

 

はてぶろユーザーの私としては是非頑張ってもらいたいもんです。