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色んな会社のビジネスモデルを調べるブログ

知らないと恥ずかしい!2014年、今一番知っておくべきイケてるWEBメディア「Houzz」研究

はじめに

先日大きなニュースとなったDenaによるiemo買収。
そのiemo代表の村田さんがサービス立ち上げ当初からモデルとしているサイトがある。皆さんご存知Houzzだ。


Houzz自身もシリーズDとなる23億ドル(約2500億円)の資金調達を実施している。
立ち上げからわずか6年目にも関わらず時価総額2500億円の会社になっていることは驚きの一言である。

現在日本でもホットになりつつある不動産売買・リノベーショ市場。
今回はその動きの源流ともいえるHouzzのビジネスモデル及びサービスの特徴にせ
まる。

前回みんなのウェディングのビジネスモデルを分析したが、今回もキーワードは
「情報の非対称性」になりそうだ。

■目次

  • Houzzとは?
  • サービスの特徴とビジネスモデル(市場環境について)
  • 収益分析
  • サービスの課題と今後

Houzzとは?

Houzzは住宅のリフォームを検討している人と専門家をつなく
アメリカ発のインテリア・リフォーム関連のオンラインプラットフォーム。

つくりとしてはシンプルだ。
リフォーム関連の専門家がサイトに自らの手がけた案件の写真をアップする。
リフォームを検討しているユーザーはそのアップされた写真を見ながら好きな写真をピックアップしていき、気に入った専門家に仕事を依頼することが出来るという仕組みだ。

サイトの見た目はオンラインカタログのようになっていて、一度サイトを訪れるとわかるがアップされている写真はどれもクオリティの高いものばかりで見ているだけでもインテリア好きならわくわくしてしまう。

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設立は2009年。以来爆発的な成長を遂げていて現在では200万以上の専門家登録と400万点以上の写真が投稿されている。
※2014/10/4現在。

創設者はAdi Tatarko氏と、その夫Alon Cohen氏の2人。
自らがリフォームを検討していた時の

・適正価格がわからない
・誰に頼んだらいいのかわからない

という不便さがきっかけになり、Houzzの立ち上げを思い立ったとのこと。
※夫Cohen氏は当時eBayのエンジニアリング・ディレクターだった。

サービスの特徴とビジネスモデル

・Houzzのビジネスモデル

ビジネスモデルは下記のようになっていると思われる。

 

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収益ラインは主に

・専門家マッチング手数料
・EC
アフィリエイト収益?

・サイト分析

主なコンテンツ/機能は

  • Photos/IdeaBook(施工事例の写真と保存機能)
  • Stories(まとめ記事)
  • SHOP(リフォーム関連商品やインテリアのEC)
  • FIND A PRO (専門家検索)

の4つ。

一つ一つ順にみていこう。

・Photos/IdeaBook

Houzzのメインコンテンツとのいえるのがこれ。
リフォーム専門業者がアップした自身の実績写真。
2014年10月現在で400万以上の写真がアップされている。
ユーザーはPhotosの中から好きな写真を選んでオリジナルの
スクラップブックのようなものを作成することが出来る。

・Stories

Photos及びSHOP内に存在している写真を用いてまとめ記事が作成されている。
記事をまとめているキュレーターはHouzzスタッフ及びHouzzが外注しているパートナーであると考えられる。

キュレーターの公式キュレーターは「Houzz Contributor」として
サイト上でも紹介されている。
※Contributorとして紹介されている人の他にもフリーのデザイナー等が
まとめ記事を作成しているようである。

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ざっと見たところHouzz Contributor1人あたり200-300の記事を作成している。
サイト上で紹介されている人だけでも累計1万記事程度を作成している程度と思わ
れる。

・SHOP

インテリア・リフォーム関連商品がサイトから購入出来る。
サイトのグローバルナビゲーション上の「SHOP」から検索するか、まとめ記事のサイドナビにも「関連商品」として表示がされるのでそこから購入が可能だ。

試しに照明器具の写真をクリックしてみたが天井から吊るすタイプのもので6万種類以上がヒットした。取り扱いラインナップ としては少なくないのではないだろうか。

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また施工事例写真にはバーチャル商品タグのようなものがついていて、そこから商品の詳細をみることが出来る。
ECへの導線ではなく「visit store」というボタンからその商品が購入出来る先にリンクされている。アフィリエイトになっているのだろう。

 

▼緑のタグがバーチャルタグ

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▼visit store導線

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・FIND A PRO

リフォーム関連の専門家を検索出来る機能。
キッチン、壁、ドアなどカテゴリ別や地域別に検索も可能。

サイトでの表記ではアメリカだけでも200万以上の専門家登録がされているようだ 。

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本当にこんなに多くの専門家が存在するのか?

一部機関のリサーチではインテリアデザイナーの数は約4万人で、従業員、フリーランスの率は50%/50%。

空間デザイナーの数は約2.1万人で、おおよそ1/4がフリーランス

http://blog.btrax.com/jp/2014/08/03/us-design/

という調査結果が発表されていた。
少し気になり色々とサイトを調べてみたが、どうやらいわゆる「自称専門家」も含まれているようだ。

 

▼実績投稿がない自称専門家も登録されている

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一般ユーザーもマイページから自分のステータスを「PRO」に変更することが可能
であった。試しに私もPRO登録してみた。必要条件を記入していくだけで登録は完了した。サイト上のアルファベット順プロ一覧ペ ージには表示されなかったため、一定の条件を満たした人のみ表示されているの だろう。

 ・その他サイト上で気になった点

スマホでサイトにアクセスするとわかるがHouzzには「スマホサイト」というもの
が存在しない。サイトにアクセスするとPCサイトを閲覧するかアプリをダウンロードするかの2択 をせまられる。

自分にとっては初めてのケースだったので少し驚きであった。

■収益分析

売上自体の公表はないようだが、6年目にして時価総額2500億という事実と立ち上げから今日に至るまでの資金調達の歴史を見ると、市場からの期待の高さが見て取れる。

なにせ30兆円市場と言われている米不動産リフォーム市場だけに期待が高まるのも無理は無い。

Houzzファイナンス概況

シリーズA:200万ドル(2010.11)
シリーズB:1,160万ドル(2011.12)
シリーズC:3,500万ドル(2013.1)
シリーズD:1.5億ドル(2014.6)

 http://thestartup.jp/?p=12141


月間ユーザー数は2014/1時点で1600万とTechCrunchが報じている。
http://techcrunch.com/2014/06/02/houzz-on-fire/

 ■最後に

現在日本のインテリア・リフォーム市場で戦っているサービスの全てがなんらかの形でHouzzから影響を受けている言っても過言ではない。
Houzzの価値はやはり、リフォーム市場に対して圧倒的な透明性をもたらしたこと
ではないか。筆者も何年かアメリカに住んでいた経験があるのでわかるが、アメ
リカ人にとってリフォームはとても身近な存在だ。
借り家だったとしても気分にあわえて壁を一面ペンキで塗り直す、といった行為
も珍しくない。

そんな巨大な市場にすら情報の非対称性が潜んでいた。
そこにメスを入れたことが彼らの功績であると考える。

日本にそのままの形で輸入してもあまりスケールするイメージはないが、現在iemoが日本風の解釈でHouzzを輸入している。

今後日本でも色々な新しいプレーヤーが登場すると思うが、衣食住に関わる最後のフロンティアの覇権を握る戦いに目が離せない。

Houzzの今後とあわせてウォッチが必要だ。