口コミで不動産業界を変える!?口コミデータ件数100万件突破のマンションノートとは?
はじめに
2013年頃から不動産業界まわりで誕生したスタートアップ企業が増えてきているように思う。ietty、Suvacoなど既存の強者であるSUUMOやHOMESとは違った攻め口のプレーヤーが誕生している。本稿では不動産業界に「口コミ」という切り口で新たに台頭したマンションノートのビジネスモデルとサービスの特徴について考察する。
マンションノートとは?
2013年3月にサービスを開始した国内の分譲賃貸マンションの口コミサイト。
スタートして1年の2014年3月には物件に対する一般ユーザーの書き込みが100万件を突破。
サイトを見るとわかるが、マンションノートは物件に対しての口コミを検索することに特化している。サービスを手がけているのは、博報堂→エニグモCOOというキャリアを持つ藤井氏が率いるスタートアップの株式会社レンガ。
▽こういった方々
引用元:http://engineer.typemag.jp
上記サイトから藤井氏のサービス立ち上げに対する想いを抜粋させていただく。
「2010年ごろ、わたし自身がマンション購入を検討していたことがあり、不動産のサイトを調べていました。しかし、どのサイトを見ても掲載されているのは間取りや階数、方角などの基本情報がほとんどでした。マンションについての口コミが集まる掲示板もありましたが、そこに集まる情報は玉石混淆で、肝心の住民の雰囲気や日々の利便性、治安の善し悪しといったイメージを得ることができませんでした」(中略)そのような経験を経て、『マンションでのリアルな生活を想像することができるWebサービス』のイメージが膨らんでいきました」
自ら口コミを投稿するとポイントが貯まり他人の口コミがわかる
サイトの作りは非常にシンプルだ。
サイトには物件に対する口コミが並んでいるが、初期状態では2件しか口コミが表示されておらずそれ以上は「非公開口コミ」とされている。それ以上に読みたい場合は1物件あたり100ポイントを使わなくてはならない。
ポイントは自らも口コミを書くことで得られる。100文字あたり100ポイントが付与されるという仕組みだ。
口コミはカテゴリを選択して記述する方式。口コミ+1.0から5.0の9段階で点数をつけることになっている。良い点と悪い点両方をマストで記述することによって不動産業者のサクラ書き込みを防止しているとかんがえられる。
▽口コミ投稿画面
▽100文字=100ポイント
口コミ100万件突破、という表現を見て「どうやってそんなに多くのユーザーを獲得したんだ??」と思ったがどうやら1人のユーザーが1物件に対してかなり分割して投稿している例もあるようだ。
▽同一ユーザーが同一物件に対して13件の口コミを投稿している例
独自のランキングアルゴリズムを開発し、物件に対して得点をつけている
マンションノートのもう一つの特徴としてあげられるのがこれだ。
駅からの距離や近隣に何があるか、などの情報とユーザーから得られた口コミ情報を掛けあわせて独自に物件に点数をつけている。
このアルゴリズムの研究に関しては下記のサイトにもあるように東大大学院と共同研究を進めているようである。
http://engineer.typemag.jp/article/mansion-notexutokyo
■口コミはお金で買わずに集める。しかも集まったものは100を超えるチェックリスト項目を人間の目で確認!
個人的にはここが一番驚きの点であった。
こちらの記事内の藤井氏へのインタビュー内に下記のような記述がある。
口コミは買うな!超地道にサイトを伸ばすマンションノート | The Startup
最初はクラウドソーシングな どを使って1投稿いくらかお金を払えば口コミを集められるだろうと思っていました。実際にお金を払って集めた口コミは、実は使えない信頼性が低いものが多 く。。。
すぐにそういった手法での口コミ獲得は断念しました。
その後、博報堂出身の藤井氏と社内のメンバーの知り合いを駆使して足を使って口コミを獲得していった。かつての同僚や後輩に頼み込み、1人あたり○件の口コミを取ってくれ。など極めて地道に口コミを集めた。
もちろんどこかのタイミングで自然に口コミが集まるようになっていったのであろうが、クラウドソーシングがこれだけ当たり前になってきたからこそその新鮮に感じられた。
また本当にそこまでやっているのかどうか信じられないが、下記のようなインタビュー記事も発見した。
口コミの審査をしていて、特に気になった口コミを投稿したユーザー宅には、我々社員が実際に訪問し、事実確認を行うようにしています。その結果、同じマンションでは、想像で書いているような口コミを審査で落とせるようになりますから
引用元:http://techable.jp/archives/12207
マンションノートのビジネスモデル
現在はおそらくまだサービス2期目なのでマネタイズよりもサービス拡大に力を入れているのであろうが現状のビジネスモデルは下記だと予想される。
今後の収益パターンとして、
・一般ユーザーに対しての課金(ポイント販売)
・企業に対してのデータ販売/データ使用料
等が考えられると感じる。
▽Yahoo!不動産での口コミデータ連動
マンションノートの今後に関して
・サイト上からのコンバージョンポイントの設置
現状のマンションノートはストイックに口コミ閲覧サイトのていをたもっており、サイト上にコンバージョンポイントが設置されていない。
物件に対しての資料請求が出来る、もしくは賃貸ユーザー向けであれば内覧の予約などの成果ポイントを設け、それに対して課金を行うような流れになるのではないか。
・SEOでの流入獲得も問題
ただしその場合SUUMOやHOMESといったプレーヤーとSEO勝負をすることになるので厳しい戦いになるかもしれない。
不動産賃貸の場合、多くのユーザーは
- 地域名+賃貸
- 物件名
のいずれかを中心に検索をする。
地域系の検索については大手サイトの牙城を崩すことは容易ではない。
物件名での検索に関しても現状ではシェアの多くを獲得している城名状況ではないようだ。
事実こちらの記事内でのインタビュー結果として
月間300万PV程度という発表がある。もし現状口コミを獲得している物件の多くが上位表示されているようであればそれよりもずっと大きなトラフィックを獲得しているはずである。
※ちなみにSUUMOは月間PV数1億5000万。
http://www.sbbit.jp/article/cont1/26962
提携先のYahoo不動産からリンクを物件単位で獲得しているような形でその他提携を増やしていきリンクを獲得し、物件名での検索市場を獲得していく算段であろうか。
もしくはSEOでの集客からの成果課金以外の大きな収益を見据えているのだろうか。
いずれにしても立ち上げから2期目のサービスであるにも関わらず注目を集めているのは事実である。今後のマンションノートの行く末に注目したい。