ECサイトのメディア化に成功。コンテンツマーケティングの雄「北欧、暮らしの道具店」を分析
はじめに
多くのECサイトが広告費に圧迫され苦しむなか、早くからコンテンツマーケティングに取り組み成功を収めている企業があります。
その名も「北欧、暮らしの道具店」。
多くのメディアで取り上げられ、名前を知っている読者も少なくないのではないでしょうか。
今でこそ売上、閲覧者共に右肩あがりを続けている勝ち組ECサイトとなった彼らですが、一介の北欧雑貨ECサイトに過ぎなかった彼らがなぜここまで成功を収めることが出来たのか?
本稿ではその理由について勝手に分析します。
「北欧、暮らしの道具店」とは?
IKEAの日本定着以降北欧雑貨が人気を博しています。
実店舗はもちろんのこと、多くのネットショップが北欧雑貨を取り扱うようになりました。
「北欧、暮らしの道具店」もまたそのなかのサイトの1つ。
北欧雑貨を中心に取り扱うセレクトショップとして産声を上げました。
以前は百貨店や楽天市場でも出展していたそうですが、高い出店料や広告料に苦しんでいる状況を打破すべくコンテンツマーケティングに乗り出したのです。
「北欧、暮らしの道具店」が行っているコンテンツマーケティングの全体像
トリプルメディアをうまく活用しています。
コンテンツマーケティングによってどんな効果が得られているか?
コンテンツマーケティングの定義については様々でしょうが、シンプルに
見込み客獲得 ▶ 顧客化 ▶ 顧客定着
をコンテンツを用いて有無ものである、ととらえた場合以下のような効果を生んでいると考えられます。
・見込み客獲得
・読み物系ページに、見込みユーザーを誘引
広告に依存していた以前までであれば接触することが出来なかった「すぐには買わないけど次インテリアを買うとしたらここで買おっと」というユーザーの獲得に成功しています。
商品にまつわる記事だけでなく、
・勝利のレシピや
http://hokuohkurashi.com/note/75938
http://hokuohkurashi.com/note/73516
・暮らしにまつわるハウツー
http://hokuohkurashi.com/note/77008
を配信しています。
今までのKWD連動広告や単ワードのSEO対策では得ることの出来なかったユーザーとの出会いがあるでしょう。
・「北欧雑貨」等の人気KWDでも上位表示
公表ではバックリンク対策は行っていないということでしたが、「北欧雑貨」等の人気KWDで検索すると2位の位置につけています。(2015/2/8時点。)
これはコンテンツにナチュラルにリンクが集まった結果であると推測されます。
例えば下記のようにリンクが集まっているようですね。
・ソーシャル系 (はてぶ、Naver、個人ブログ等)
http://matome.naver.jp/odai/2141092319375596701
http://d.hatena.ne.jp/babyjuma/20140607/1402130352
・メディア紹介(コンテンツマーケ企業として)
http://blog.sixapart.jp/2015-01/ownedmedia-casestudy.html
・おすすめショップとして
http://www.saide-magazine.com/tyosatai/bangai/shop.html
・顧客化
彼らのサイトとその他サイトで違う点として、圧倒的な商品情報が記載されている点が挙げられます。
単純にサイズや値段等のスペックが記載されているだけでなく、その商品が暮らしのなかでどのように使われるとよいか、がコンテンツとして展開されていてまさに雑誌を見ている感覚に陥ります。
その結果サイトに訪れたユーザーが顧客化する確立も高いと考えられます。
同じ商品であっても「このサイトから買いたい」とすら感じされるクオリティです。
・顧客定着
上記でも説明した通り、彼らが提供しているのは商品でなく、その商品が存在することによって得られる「上質な暮らし」を提供しています。
そのため一度購入したユーザーも、「次は何を買い足そうかな、」とリピートにつながるでしょう。
仕組みとして彼らが用いているのは下記の手段です。
- メルマガ
- インスタグラム
- ディスプレイ広告(リマーケティング)
いずれも顧客の再来訪(+ロイヤリティアップ)に一役買っています。
その他面白いと感じた点
・コンテンツ生産体制。スタッフ自らつくり上げるハイクオリティコンテンツ
「北欧、暮らしの道具店」は採用の要件に、文章のライティングや写真撮影のスキルを取り入れています。
だからこそハイクオリティなコンテンツを内製することが出来るのですね。
・自社に関するデータを何でも公表。
彼らの売上やサイトのトラフィック関連の情報はサイト上からチェックすることが出来ます。
採用関連のページからリンクされていることが多いので、自分たちのことを徹底的に理解した上で一緒に働くかどうか判断して、的な意味合いでしょうか。
これもコンテンツマーケティングですね。
・自社ブランドの展開
もともと彼らはセレクトショップなので、利益構造を考えると難しい面もあるはずです。さすがに同じものを他店の数倍の値段で売ることは出来ませんから。
百貨店ほど大量に仕入れるわけではないので仕入れの交渉力が極端に強いというわけでもないと思います。
そもそも雑貨・インテリアというのは一定頻度で必要になる、絶対に必要、というものではありませんから商売として難しい。
そこで彼らが乗り出しているのが自社ブランドの展開です。
(※全然別の理由かもしれません。あしからず。。)
それがこのジャム。
出展:http://hokuohkurashi.com/note/68356
自社商品であるからこそ価格のコントロールも出来ますし、なくなってしまうのでファンならリピートするかも。
ただ商品を売るのでなく、「憧れの暮らし」を売っている彼らならではの戦略であると感じました。
■終わりに
コンテンツマーケティングが今のように流行り言葉になる前から彼らのように腰を据えて取り組んでいた例も少なくないはずです。今後も本ブログでは良質な例を継続してい取り上げていく予定です。
※分析しながらサイトを見ていたら私も何か買いたくなってしまいました。