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色んな会社のビジネスモデルを調べるブログ

みんな知ってる?Rizapは売上1000億、営業利益100億企業。急成長を支えるビジネスモデルを分析

いろいろなメディアで分析しつくされている感が強いライザップであり本ブログでとりあげるにはちょっと今更感があるかもしれませんが、自分の身の回りで話題にあがる機会が何度かあり気になって色々調べたのでまとめます。

そもそもどんな会社

現在はライザップグループとしてプライベートジムの「Rizap」をはじめ、アパレル、出版、エンタメ、など各種事業を傘下に収めてる企業ですが、もともとは2003年に健康食品の通販会社としてスタートした「健康コーポレーション株式会社」が前身となっています。2006年に豆乳クッキーがヒットしてこの時期にすでに売上100億円に到達。

この商品は当時楽天で1600万ほどある商品のなかで一番販売された商品とのこと。すごい。プライベートジムである「Rizap」を開始したのが2012年4月。開始約5年で会員数9.5万人。グループ全体の売上は1000億近くまで到達しています。ここまで儲かっていたとは・・・。

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Rizapのビジネスモデル

傘下にたくさんの子会社を抱えているため主事業であるプライベートジム(ボディメイク事業)にフォーカスして考察します。

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基本的には世間一般の方がイメージしているプライベートジムのライザップに美容、健康、アパレルなどの各種通販がくっついたイメージです。主な特徵として下記2点が特徵としてあげられるのではないでしょうか。

①競合と異なる収益コスト構造

一般的にジムは設備にとてもお金がかかります、しかも立地が非常に大事なので駅前等の一等地にあったりするので家賃も高く、実は利益率が低いビジネスです。

しかしライザップは設備という意味では最小限。完全予約性なので無駄に広いスペースの確保もいらず、そもそも立地がよくないと通わないというお客様を相手にしていないので(むしろ入会の順番待ち)家賃が安い。その為高い利益が確保できるのです。

そこで獲得した利益をマーケティングに投資してブランディング・新規獲得。そして人材に投資して高いリピート性と口コミ発生により更なる新規獲得をうんでいます。

 事実同社の発表によると新規会員のウチ30%が口コミ経由のものであり会員のサービス満足度の高さが伺えます。

※確かに友人に「RIZAPめっちゃよかったよ」と勧められたら僕もちょっと興味わきます。

②MAを積極的に行い赤字企業を再生

この点が個人的には全く知らなかったことなので驚きでしたが、RIZAPはとてもMAが上手な会社です。大きなものだとアパレルのジーンズメイトなんかも実はグループ傘下の子会社になっています。実は上場したての2007年にはすでに色々とMAを繰り返していたようですが、ちなみに2013年以降の案件については下記。

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実際に買収を行った各種事業はこんな感じで黒字化しています。

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どうしてここまでうまく再生できるのか。詳細は計り知れませんが、代表の瀬戸氏の

われわれは開発からプロモーション、 販売までを一気通貫で行ってきましたので、 ノウハウや顧客データも蓄積されています。 M&Aにおいても、この強みを生かせるドメインに進出しているのです。
引用元:
http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1705/10/news011_2.html

という発言から推測する限りうまくシナジーを期待できる会社をうまく選定し再生しているようです。

わかりやすいシナジーを1つご紹介します。

例えば矯正下着を販売しているMARUKOは女芸人を起用したRIZAP風のCMを作成していて、マーケティング面でもそうですし、おそらくRIZAP会員への販売も可能だと思うのでうまくシナジーを発揮できていますよね。

グループ企業のなかでも1番のV字回復を見せた企業です。上記表にも記載がありますがもともと赤字2億だったものを1年で10億円近い利益までもっていけそう、というのはすごい。

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https://www.youtube.com/watch?v=J5iZIZ7EFfU

また当然シナジーだけでなく事業単体でみた際に合理化ししっかりと黒字化をできる事業人材を抱えているのだと思います。事実元ファーストリテーリング執行役員をはじめ、一流人材の獲得にも成功しているようです。

つまり簡単にいうと「突き詰めれば黒字化できるけどうまく経営できていないから赤字になってしまっている企業を買収し、グループシナジーも用いて早期に黒字化させる」って感じでしょうか。
※過去MAの振り返り、及び買収先企業の業績については2017年3月期第2四半期決算説明会資料から転載

今後もRizapは成長し続けるのか?

同社の戦略を簡単にまとめると下記のようになるかと思います。

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ボディメイク事業はまだまだ伸びそう

現在国内外あわせて150店舗弱とまだまだ飽和した状態ではないと思います。

同じ業態ではありませんがフィットネスクラブ・フランチャイズのANYTIMESが2017年10月時点で国内250店舗2020年目標が500店舗

カーブスなんかは中高年向けに展開していても全国で1700店舗です。

 

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2018年3月期第2四半期決算説明書から引用

 

おそらくトレーナーの育成の仕組みはすでに確立できているため、質を落とさずトレーナー獲得できればボディメイク事業は手堅く成長する。安価にリプレイスを図ったり、よりバーチカルに特定ターゲットだけを対象にする競合も現れる(というかもういる?)でしょうが大きな脅威にはならないのではと思います。運営ノウハウに加えて今まで投資してきたマーケティングコスト、満足度の高いサービスから発生した口コミの累計が彼等の資産として積み重なっているので簡単には抜けない存在になっています。

ボディメイク以外の新規領域に関しては、「トレーナーのコミュニケーション能力を売りに独自メソッドを提供し二人三脚のたよれる存在になる」という観点では現在テスト的に展開をしているものの中でも特にゴルフなんかはよさそうだなと感じます。その他英会話、クッキングも含めて良い講師候補の獲得がまずはキモになるのかなと思いますがその点でいうとボディメイク事業はどうやらトレーナー未経験者を採用して育成したようですがゴルフや英会話はそうはいかない気がします。が、現在すでにそれが可能なフリーや他社保有の人材がいそうだなと思うので立ち上がりはイメージがつきます。

・データ活用物販に関してはまだ成功のイメージがわかない

同社が得意とする赤字企業のMA→再生については今後も余地がありそうだし、グローバルSPA構築についてはその道の専門家を招集しているため順調に成長するのではと思います。個人的には「データを活用した最適コマースの提供」がどこまでうまくできるのかが気になるところです。現在も10万人近い会員を抱えるRIZAPですがそのうち何割がRIZAP提供の商品を購入しているかは今回のリサーチでは見つけることができませんでした。とはいえ仮に10万人全員が年に10万円使っても年商100億。現在のRIZAPからしたら大きな金額ではありません。RIZAP会員だけでなく買収先が持っている会員資産を統合していき会員母数を増やしていかないとダイナミックな数字にはならないかなと。ただしAI的なレコメンドがかなりの精度だったとしても提供元のブランドに信頼がないと機能しない気がします。RIZAPは信頼がほぼMAXでしょうが、グループ企業のすべてがそうではないと思うのでこのあたりを今後どのように解消するのか(あるいはそもそも問題にならないのか?)気になります。

まだまだ今後具体化していくのだと思いますがぜひ「こういうことだったのか」と思わせてほしいなと思います。

以上RIZAPのビジネスモデルについての勝手な考察でした。
何かコメント等あればぜひ個別でもお願いします。それではまた今度。