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仮想通貨を用いた新メディア「ALIS」は何が新しいのか考察

最近仮想通貨の普及に伴いそれ自体の売買にとどまらず色々なサービスにエッセンスが応用されだしています。本稿では仮想通貨とそれを支える技術を用いてメディアの新たらしいあり方に挑戦をしている「ALIS」について取り上げます。

どんなメディアなのか?

ALISは簡単にいうとコンテンツの書き手とコンテンツの評価者に対価として仮想通貨が支払われるメディアプラットフォームです。

昨今Googleのコンテンツ評価の仕組みをハックしたグレーなキュレーションメディアやアフィリエイトサイトの氾濫により低品質サイトにあふれた現状を打開するためのテーゼとして打ち出されました。

従来のメディアにありがちな広告のためのコンテンツ、ステルスマーケティング、信頼性の低い情報に うんざりしている人々を解放することがALISの目的です。

同社公式サイトより引用:https://alismedia.jp/ja/index.html

 サービス自体はまだ計画の段階で現在目下開発中のようですが、ICOを目指す中でその発想のユニークさから話題をよび注目を集めています。2017年9月にICOによる4.3億円の資金調達を成功させたとのこと。

実際にはどんな仕組みなのか?

ALISは実は世界的に見ると初の試みというわけではなく、先行する海外サービスである「Steemit」https://steemit.com/ が存在します。

2016年に立ち上がり、2017年後半段階で400億円近い価値のついているサービスです。
記事執筆の2018年1月段階では日本語のサポートも開始しているようですがまだ日本語記事は少ないようです。

ALISがSteemitに深く感銘を受け大いに参考にしており、その点については同社が正式に公表しています。

正直に言うと、我々はSTEEM(https://steem.io)に大きな感銘を受けたところからこのプラットフォームの構想をスタートした。

同社ホワイトペーパーより引用

https://alisproject.github.io/whitepaper/whitepaper_v1.01_ja.pdf

Steemitについての説明は下記のブログに詳しいので本稿では説明は割愛させていただきます。 

広告収益に依存しないWebメディアの新モデル「Steemit」とは

Steemitではコンテンツ作成者およびコンテンツ評価者に対して付与される仮想通貨の区分が複数存在し複雑なのに対してALISは1種類の仮想通貨に統一しわかりやすいです。

Newspicksでも5000pick以上され大いに話題になっていたチャーリーさんのブログでも図解されていましたがこのような仕組みです。(チャーリーさんの図解を拝借します)

 

 個人的には「売上」というものが存在せずALISの通貨としての価値が高まることでコンテンツ作成者と評価者に継続して支払いを可能にする、という考えが「なんと、そんなこと可能なんだ」って感じです。

何が革新的でメディアの何が変わるのか?

 仮想通貨を用いているという点ですでに斬新な香りに満ちていますが、ここではALISをメディアプラットフォームとして考え、機能を分解し同サービスがどういった点で既存のサービスと差があるのかについて考察をしたいと思います。

 考察をするにあたって、コンテンツの生産(調達)・流通の両方の機能を持ち合わせているプラットフォームを「完結型」。そのいずれかが欠けているものを「非完結型」とし、下記のように整理しました。

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いくつかALISにとって大事そうな論点についてまとめました。

1.流通補完プレーヤーをうまく囲い込めるか

非完結型として挙げたnoteは強力な流通機能を独自に持っていません。(noteが独自で読者候補を集客してくれるのでなく生産者が各自のブログやSNS等で集客していますよね。)

先行するsteemitをみてもそれ単体で強い集客力を持っているとは思えませんのでおそらく非完結型に区分されるかと思います。

noteユーザーを見ていてもわかりますがthestartupの梅木さんやイケダハヤト氏、あるいははあちゅうさんなど元々ネットにおける著名人で各自のブログやSNSで集客が可能なプレーヤーが好んで使用している印象です。ALISにおいてもこうした人たちにどう参加してもらえるかがポイントかと思います。

2.コンテンツ作成者をどのように獲得するか

noteを見る限り基本的には個人のコンテンツ作成者が多い印象です。
noteにサイゾーを見つけましたが普段あまりその他例を見かけないなと感じています。

※有料でオンライン販売することが本体の記事や雑誌との兼ね合いでうまくバランスがとれないのでしょうか?

またsteemitをざっとみるかぎり個人の書き手が多い様です。 おそらくはブログやメルマガよりも収益性が高いために利用しているのでしょうからAlisにも同等の収益性が期待されるのかなと思います。

最後に

 仮想通貨熱がどんどん加熱しているなかでそれとメディアビジネスをうまく接続しようと挑戦している点はすごく面白いと思います。最初は仮想通貨メディアからスタートしていずれはすべての口コミメディアをディスラプトする気概のようですので今後が気になります。

うまくサービスが初期で軌道にのるかどうかに関してはおそらく上記で挙げたネット上のインフルエンサーをうまく賛同者として集められるかがポイントかと思いますが先日開催されたミートアップでのスライドをみるかぎりしっかりと意識できているようです。

※その点に関してはこちらのブログが参考になります

ALISのICOで約4.3億円調達!ミートアップに参加してきた | ポインの仮想通貨ハマって(中毒って)ます!!

 ※個人的にはLINEの田端さんあたりは声がかかっているのかな、と勝手に想像しています。

 まだまだ仮想通貨自体が真新しいものであるため最初は一部のユーザーの利用にとどまるでしょうが、noteの「読む前に課金」という形式に対してALISが目指している「よいコンテンツをユーザーが選ぶ」のどちらが受け入れられる(あるいは共存する)のかが気になるところです。

以上ALISについての勝手な考察でした。
2018年4月にベータ版OPEN予定のようですのでそのころに再度取り上げたいなと思います。それではまた。