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Newspicksはどこまで成長するのか? 2014年→2018年の進化と今後の考察

本ブログでは2014年にNewspicksのビジネスモデルについて分析をした記事を公開しました。その後同社は2016年に上場。あれからNewspicksはどのように進化したのでしょうか?過去と現在を比較しつつ今後について考察したいと思います。

【時間の無い人へ本記事のまとめ】

✔当時まだ数百名であった有料会員は約5万人まで増加。
✔ブランドコンテンツに加えて求人広告が大きく成長。
✔購読者数比較:日経ビジネス=19万、東洋経済=6.5万。目指せ10万か。

□(おさらい)ニュースピックスの特徵【2014時点】

もはや説明の必要もないかもしれませんが念のためおさらい。
以前の記事から要点を抜粋します。

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Newspicksビジネスモデル(2014年)

・コンテンツはキュレーション

ユーザーが各種メディアから気になった記事をPick(キュレーション)。その記事に対してユーザーがコメントをつけ合う。ユーザーの中にはホリエモンなど著名人も多数のためニュースに対しての事実だけでなく、「ニュースに対しての視点」がわかる。

・マネタイズはユーザーへの月額課金

月額1500円を払うことで有料ニュース記事が読めるようになります。2014年当時はニュースピックス独自の記事でなく、各種提携媒体の有料記事が読めることをフックに有料会員化。ネイティブ広告は今後展開していくことを標榜していましたが未実施。

 

あれから3年半、Newspicksは成長した

さて、前回記事を執筆したのは2014年の6月。あれから3年半が経過。その間同社は2016年に上場も果たしています。執筆時点の2018年2月頭の段階で時価総額は400億超えと市場からの高い期待が伺えます。
それではNewspicksはどのように進化したのか要点をまとめます。

・オリジナルコンテンツが強化された

当時まだ存在しなかったNewspicksのオリジナルコンテンツですが現在では名物コンテンツに。話題の人物や重鎮クラスのビジネスパーソンにフォーカスした取材や対談記事。インフォグラフィクスや動画表現もうまく取り入れ、Live配信もはじめています。※筆者はLive配信は視聴したことはありませんが。。

・月額有料ユーザーは順調に増加

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有料課金ユーザーは5万人弱まで増加しました。

単純に1人あたり1500円をかけあわせると月に7500万の売上があります。
※四半期の有料課金が5億程度のはずなので月1.7億前後のはずと考えるともしかしたら高単価な法人プラン等がここに含まれているのでしょうか?
例)社内版NewsPicksを提供開始。第1弾として丸紅が導入

 また従来の月額1500円の有料会員に加えて、月額5000円のNewspicksアカデミアプランが追加されています。勉強会や公演などに参加できる権利が付与されるプランでメディアコミュニティの深化+マネタイズにつなげようとする試みでしょうか。同プラン会員数は2000人弱とまだまだボリューム的には少なくこれから色々と模索していくのかなと思います。

・広告収益が大きく成長

もともと同社代表の梅田氏はインタビューの中で

有料課金に関しては「儲かるからやろう」という発想からではなくて、課金モデルを追求していかなくてはいけないという使命感に似たものから来ています。 というのも、まずユーザーにとって邪魔なものはできるだけ排除したいから。 例えばバナー広告って邪魔ですよね、自分たちのほしくないものはつくりたくないんです。

 とおっしゃられていました。しかしながら同時にネイティブアドの可能性も当時から模索されていました。

 もうひとつ、ネイティブアドに可能性を感じています。広告であってもユーザーが読んでおもしろいものであれば意義があると考えています。

 現在ではネイティブアドに加えて、採用広告の掲載でマネタイズを実施しています。

 

・ネイティブアドイメージ

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・採用広告アドイメージ

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2014年→2018年の進化についてはまとめるとこのような感じでしょうか

 ▽ビジネスモデルの変化

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今後Newspicksはどこまで成長する?

2014年時点からは大きく成長したNewspickですが今後どこまで成長が見込めるのでしょうか。勝手ながら考察してみたいと思います。

・有料会員数は倍の10万人を目指したい?

ビジネス系メディアで有料継続課金というモデルだと数値が取得可能だったものでビジネス雑誌の定期購読と比較しています。すると下記のグラフのようになります。

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・日経ビジネス、週刊東洋経済の読者数については2015年度のもの。(Fujisan.co.jp
・Newspicks読者数は2017年9月時点。(決算方向書より)
・月価格は年契約の場合の契約価格を月数で割って算出。

実はもう東洋経済とそこまで大きく差がないところまできているんですね。もちろん雑誌と比べると読者の年齢層やそもそも紙-Webという媒体特性の差もありますから一概に比較することはできませんが10万人までは射程圏内で20万人以上を目指すとなると相当難易度は高いというイメージではないでしょうか。

・広告は収益はどうか・・?

決算書の記載から読み取ると現在の広告収益がおよそ四半期で5億円といったところでしょうか。

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2016年末に発表された成長可能性に関する説明資料にもあるとおり、ネイティブ広告に関してはそれほどなものの、リクルーティング(求人広告)は大きく成長を目指しています。

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求人系サービスは読者数(とくに会員登録済み)に比例して伸びるかと思いますが2017年9月末段階で266万人。日経ビジネスの読者が2017年12月時点で247万人と発表がありますのですでにけして少なくない数値ですね。どちらかというと新規ユーザーをガンガン増やすというよりはよりネイティブな閲覧体験の中で求人コンテンツを見せるUI側と営業努力で伸ばすという感じでしょうか。

学生用の月額500円のプランを用意し、就職前大学生を囲い込んでさらなるユーザー増を狙っているようにも見えますがNewspicksはコミュニティが命だと思います。それなりに仕上がったコメント欄に学生の意見が大量に入り込むとちょっと・・・、という気は個人的にはしますが。

・「Newspicks疲れ」してるのは私だけ??

最後に完全に個人的な感想です。

正直オリジナルコンテンツの質は高く他にはない仕上がりであるものの日々消化できる量を超えてしまっている気がします。少なくとも私はそうなってしまっていて、タイトルをみてPicksはしたものの結局読まなかったという記事が増えています。

Newspicks読んで良いコメントしなきゃ、的ないわゆる「Newspicks疲れ」が起きているように感じます。私も一時期それが理由で解約しましたし、周りにもそうした人が何人います。月額課金サービスはどのように解約率を抑えるのかがポイントであるため、このあたりの設計も今後重要なのかな?と感じています。

※単に私の情報消化力が低い可能性も多分にありますので、この点に関しては考察というより単なる感想に近いものだとお受け取り下さい。


以上勝手な考察でした。

個人的にはリリース当初からよく練られたサービスだと思っていますし、有料課金ユーザーのひとりとして更なる進化を期待しています。