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色んな会社のビジネスモデルを調べるブログ

上場を果たしたクラウドワークスのビジネスモデルと今後のテーマについて改めて分析してみた

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クラウドソーシングの雄「クラウドワークス」上場

年もあけてしまいかなり今さら感がありますが、筆者の興味領域である「コンテンツマーケティング」とも関連の強いクラウドソーシングの雄であるクラウドワークスさんビジネスを決算書を元に勝手に分析した上で今後の日本におけるクラウドソーシングの未来について考えてみようと思います。

目次

・会社/サービス概要
・ビジネスモデル
・収益/コスト構造
・今後の予想

クラウドワークス会社&サービス概要

言わずもがなですが簡単に下記にまとめます。

・2011年末に創業したクラウドソーシングを推進する会社

▽クラウドソーシングのイメージ

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(出所)同社発表「成長可能性に関する説明資料」

簡単にいうと企業が個人に仕事を依頼するという新しいアウトソーシングのあり方、及びワークスタイル。

  • 元ドリコム社長の吉田氏が立ち上げ、競合のランサーズと共に日本のクラウドソーシング業界を牽引
  • 2014年11月に上場。創業から短期での上場
  • 今後数年で7倍近い成長とも言われるクラウドソーシングという概念自体に注目が集まっている。
    ※矢野経済研究所「クラウドソーシングサービス市場に関する調査結果 2014」より引用

 

クラウドワークスのビジネスモデルはプラットフォームと受託の2通り

 

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あまりきれいなピクト図解ではありませんが上記のようになります。

 

収益構造について

上記に図解したとおりクラウドワークスの事業は「プラットフォームサービス」と「エンタープライズサービス」の2通りで構成されています。

プラットフォームサービス
いわゆるマルチサイドプラットフォームモデル。発注者と受託者を直接契約させて、納品に至ったら受託者から手数料を収受。

・エンタープライズサービス
企業が案件をクラウドワークスに直接発注。クラウドワークスが案件をワーカーに再委託し差額の利益を「進行管理手数料」という名目で収受。

収益構成をみてみましょう。

 

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※有価証券報告書第3期のデータを元に作成。

上記チャートを見てもわかるようにエンタープライズサービスの伸びが顕著です。
プラットフォームサービスの手数料よりも高い利益率設定で受託形式の案件を増やしていることが伺えます。もちろんその分営業マンやディレクターを抱える必要がありますが、1人あたり営業利益を見るとその点についても問題ないようです。大企業相手に十分な利益を確保出来ている受託案件が多いということでしょうか。

 

コスト構造の内訳について分析

営業費用の内訳を、同じく有価証券報告書-第3期のデータを用いてチャートにしたものが下記。

 

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エンタープライズモデル確立のための人件費増加
会員獲得のための広告宣伝費の増加

といったところでしょうか。

 

クラウドワークスの今後についての勝手な予想
肝はワーカーの実力の可視化か。

設立3年で上場までいったスピード感と彼らが目指したい世界観は素晴らしいと個人的に感じます。

リアル・ワールドにPER50倍がついているとかんがえるともう少し高いPERがついてもいいのになと感じますが、、。
さて、問題は今後彼らがどう成長するかです。

筆者が個人的に考える今後のクラウドワークス(クラウドソーシング業界の)KWDは下記です。

・成約率
・ワーカーの成長
・ワーカーの評価

成約率を上げない限りはプラットフォームとして大きく成長することは難しい。

現状の売上を見ると上記のチャートで示したとおり現状ではエンタープライズが占める割合が多いです。


今はクラウドソーシングの価値を説いて回る意味でもまずエンタープライズを一時的に拡大してもいいかなと感じます。

しかし、どこかのタイミングでプラットフォーム事業で大きく売上を確保する必要があります。
その場合もポイントは「成約率」。仕事のマッチング率ともいえるでしょうか。

矢野経済研究所の推計によると「2013年の約246億円から2017年には約1437億円へと約6倍に成長する」とのことです。

しかし上記の数字は仕事として成約に至らなかった金額も含む総額。実際にクラウドワークスのような事業者の売上になるのは

仕事の総額×成約率×手数料率

です。
手数料率を大幅に増えることはないと考えられますからどれだけ仕事のマッチングが行われるかがポイントです。

・マッチングが起きるためには信頼のおけるユーザーの確保と紹介の仕組みが必要

こちらの記事で代表の吉田氏も言っていますが、今後クラウドソーシングに求められるのはユーザーの信頼性です。

どこも馬の骨ともわからない人に企業が仕事を依頼することは考えづらい。

信頼性を担保するためにユーザーの実力や実績を可視化する試みも必要でしょう。

そして、可視化するだけでなく、案件に対して適切なユーザーが紹介される仕組みが必要です。
過去の実績や実力を元にしたビックデータ解析によるマッチングアルゴリズムですね。

そうすることが出来ればユーザーが「使われる」という力関係でなく、適切な実力を持ったユーザーに適切なFeeが支払われる理想的な世界観が成り立ちます。

 

すでに同社はユーザーに対する教育にも乗り出しているようですし、
「フリーランスに対して社会基盤になる」とも宣言していますから方向性として安心できそうです。


まだまだ産声を上げたばかりの本市場が本当に予測通りに成長するのか。クラウドワークスの活躍に依る部分は少なくなさそうです。