出版業界のビジネスモデル研究
はじめに
先日角川とドワンゴの合併がニュースになっていたが、WEBの世界においては今後もコンテンツの作り手と拡散・デリバリーする側が手を取り合う(もしくは買収)流れが強まるのではないかと筆者は個人的に感じている。
WEBビジネスの世界に生きる私にとって、コンテンツの作り手代表格である出版業界は無視することの出来ない存在である。
そこで今回は、出版業界のビジネスモデル・及び主要なプレーヤーについて分析する。
■目次
- 出版業界研究
- 業界MAP、主要プレーヤー
- ビジネスモデル
- 業界の課題・今後
出版業界研究
業界規模
業界に関するまとまったデータが見当たらなかったため下記の記事から引用させていただく。
昨年の書籍と雑誌の総売上額が、前年比3・4%減の1兆7711億円だったことが9日、出版ニュース社の調べで分かった。9年連続の市場縮小
引用元:http://www.asahi.com/articles/DA3S11181067.html
・業界MAP
引用元:http://www.ecareer.ne.jp/contents/business_map/06.jsp
上記のMAPにある通り出版業界と一口にいっても彼らがメインで扱うコンテンツによって分類がされているようだ。
売上金額で見るとリクルート・ベネッセが大きく飛び出ているが、果たしてここに彼らを「出版社」として紹介しつづけることは適切なのだろうか、、。
日本における出版社の数
出版社数に関しては以下の通り。
2006年 4,107 社
2007年 4,055 社
2008年 3,979 社
2011年 3,736 社
http://www.1book.co.jp/003727.html
減ってきているとはいえ約3600の出版社が存在している。
主要プレーヤー
帝国データバンク 出版業界 2012 年度決算調査 によると
売上のトップテンは下記の企業である。
の大手3社が売上では頭ひとつ抜けているイメージ。
上記のデータは少し古いものなのであらわれていないが、ながらく続いたこの3強体制にKADOKAWAが食い込むことになるのだろう。
また業界の一部を切り出したデータであるがこちらのデータも役に立ちそうなのでご紹介。
引用元:http://www.1book.co.jp/005457.html
■出版業界のビジネスモデル
出版業界のビジネスモデルは下記のようになっている。
流れとしては出版社が本を企画・製作(メーカー)。取次業者が書店に本を配本、書店で消費者に本を販売。というもの。
流れとしては一般的な小売業に似ている。メーカー→問屋→小売のようなものだ。
出版業界においては2つの特徴的な制度を利用している。
再販制度と委託制度である。
この説明については多くのサイトで詳細な説明があったため、引用させていただく。
「再販制」
独占禁止法第 23 条に規定された再販売価格指定販売契約の許可のことである。より詳しく言うと、そもそも売買契約において相手方に再販売の価格を指定して販売する行為は競争抑制的であるので独占禁止法において禁止されているが、ごく一部の例外的商品については再販売価格を指定した売買をしてもよいということである。その例外商品の中に書籍が含まれている。
ようはメーカーが小売店に「●●円で売ってね」と契約出来る制度。
「委託販売制」
文字通りに「小売業に販売を委託する」制度で、小売業に陳列されている商品の帰属は小売業ではなく、製造業に属する。小売業は販売額の一定の割合を手数料として獲得できるが、売れ残った場合は無条件に返品できるために在庫リスクは少ない。
つまり書店は、自ら仕入れた商品を売っているのでなく代理で販売しているから
売れ残った商品は返品してOKですよ、という仕組み。
引用元:http://www.waseda.jp/sem-domon01/members/arashi/arashi.pdf
また同引用元内にコスト構造についてのわかりやすい解説がされている。
業界の課題・今後
雑誌の売上低迷
冒頭の売上規模の紹介部分で少し触れた部分ではあるが、そもそも業界として売上が年々減少しているという事実がある。特に雑誌に関しては著しい。
下記は出版物別の売上推移であるが、このチャートも見ればわかるように2000年以降の雑誌の売上には厳しいものがある。売上が減少している理由としては読者がWEBメディアに流れていることがあげられるのだろう。今日日電車に乗っていても雑誌を読んでいる人は珍しいように思う。
引用元:http://www.garbagenews.net/archives/2101334.html
▼業界を悩ます返本率を見ても、雑誌のそれは悪化の一途を辿っている。
上記で述べたコスト構造からもわかるように返本コストがどれだけ重たいかは説明の必要がないように思う。
電子書籍の苦戦
一昔まえから時代は電子書籍、というような風潮があった気がするが未だに世の中一般に定着しているとは言いがたい。実際に売上を見ても期待通りというわけではなさそうだ。
なぜそこまで電子書籍は売上が伸びないのか?
少し参考にした記事が古いかもしれないがこちらのサイトいわく理由は3点ある。
下記のサイトから説明を拝借
編集者の日々の泡:小学館、集英社、講談社が電子書籍でアマゾンと組みそうな「ワケ」 ――電子書籍に死屍累々の「出版界」
●電子書店の規格乱立
電子書籍は、個々の電子書店で許されるフォーマットでしか発売できない。日本での電子書店は通信キャリア系、流通系、取次系など入り乱れて戦国時代並の大乱戦状態であり、規格はバラバラ。別規格の書店に卸そうとすればオーサリングはそれぞれ別に費用が発生する。
●売れない
紙の書籍の潜在読者は「日本語の読める人」。電子書籍の潜在読者は「タブレットユーザー+α」。このため決定的に売れ行きが違う。この点、英語書籍の電子化でむしろ紙より広く全世界を相手にできる米国の出版社とは、話が違う。
●コストが高い電子書籍では、紙代と印刷代が不要になる。反面、紙にはないオーサリング費用が掛かる。さらに長い歴史を持ち極限まで効率化されコストダウンが進んだ紙版では問題にならない上記の事務の手間(=コスト)も。電子版が売れないという条件で見ると、分母が小さいだけにこれらがバカにならない。
以上出版業界の構造やプレーヤー及び今後の課題についてまとめた。
今後WEB業界においてコンテンツマーケティング強化、及び上質なコンテンツを載せるメディアの増加の流れは避けられないように思う。
その中でコンテンツの生産者として長年君臨してきた出版社達がどのようにWEBの世界でポジションをとっていくのか。個人的には注目のポイントである。
知らないと恥ずかしい!2014年、今一番知っておくべきイケてるWEBメディア「Houzz」研究
はじめに
先日大きなニュースとなったDenaによるiemo買収。
そのiemo代表の村田さんがサービス立ち上げ当初からモデルとしているサイトがある。皆さんご存知Houzzだ。
Houzz自身もシリーズDとなる23億ドル(約2500億円)の資金調達を実施している。
立ち上げからわずか6年目にも関わらず時価総額2500億円の会社になっていることは驚きの一言である。
現在日本でもホットになりつつある不動産売買・リノベーショ市場。
今回はその動きの源流ともいえるHouzzのビジネスモデル及びサービスの特徴にせ
まる。
前回みんなのウェディングのビジネスモデルを分析したが、今回もキーワードは
「情報の非対称性」になりそうだ。
■目次
- Houzzとは?
- サービスの特徴とビジネスモデル(市場環境について)
- 収益分析
- サービスの課題と今後
Houzzとは?
Houzzは住宅のリフォームを検討している人と専門家をつなく
アメリカ発のインテリア・リフォーム関連のオンラインプラットフォーム。
つくりとしてはシンプルだ。
リフォーム関連の専門家がサイトに自らの手がけた案件の写真をアップする。
リフォームを検討しているユーザーはそのアップされた写真を見ながら好きな写真をピックアップしていき、気に入った専門家に仕事を依頼することが出来るという仕組みだ。
サイトの見た目はオンラインカタログのようになっていて、一度サイトを訪れるとわかるがアップされている写真はどれもクオリティの高いものばかりで見ているだけでもインテリア好きならわくわくしてしまう。
設立は2009年。以来爆発的な成長を遂げていて現在では200万以上の専門家登録と400万点以上の写真が投稿されている。
※2014/10/4現在。
創設者はAdi Tatarko氏と、その夫Alon Cohen氏の2人。
自らがリフォームを検討していた時の
・適正価格がわからない
・誰に頼んだらいいのかわからない
という不便さがきっかけになり、Houzzの立ち上げを思い立ったとのこと。
※夫Cohen氏は当時eBayのエンジニアリング・ディレクターだった。
サービスの特徴とビジネスモデル
・Houzzのビジネスモデル
ビジネスモデルは下記のようになっていると思われる。
収益ラインは主に
・専門家マッチング手数料
・EC
・アフィリエイト収益?
・サイト分析
主なコンテンツ/機能は
- Photos/IdeaBook(施工事例の写真と保存機能)
- Stories(まとめ記事)
- SHOP(リフォーム関連商品やインテリアのEC)
- FIND A PRO (専門家検索)
の4つ。
一つ一つ順にみていこう。
・Photos/IdeaBook
Houzzのメインコンテンツとのいえるのがこれ。
リフォーム専門業者がアップした自身の実績写真。
2014年10月現在で400万以上の写真がアップされている。
ユーザーはPhotosの中から好きな写真を選んでオリジナルの
スクラップブックのようなものを作成することが出来る。
・Stories
Photos及びSHOP内に存在している写真を用いてまとめ記事が作成されている。
記事をまとめているキュレーターはHouzzスタッフ及びHouzzが外注しているパートナーであると考えられる。
キュレーターの公式キュレーターは「Houzz Contributor」として
サイト上でも紹介されている。
※Contributorとして紹介されている人の他にもフリーのデザイナー等が
まとめ記事を作成しているようである。
ざっと見たところHouzz Contributor1人あたり200-300の記事を作成している。
サイト上で紹介されている人だけでも累計1万記事程度を作成している程度と思わ
れる。
・SHOP
インテリア・リフォーム関連商品がサイトから購入出来る。
サイトのグローバルナビゲーション上の「SHOP」から検索するか、まとめ記事のサイドナビにも「関連商品」として表示がされるのでそこから購入が可能だ。
試しに照明器具の写真をクリックしてみたが天井から吊るすタイプのもので6万種類以上がヒットした。取り扱いラインナップ としては少なくないのではないだろうか。
また施工事例写真にはバーチャル商品タグのようなものがついていて、そこから商品の詳細をみることが出来る。
ECへの導線ではなく「visit store」というボタンからその商品が購入出来る先にリンクされている。アフィリエイトになっているのだろう。
▼緑のタグがバーチャルタグ
▼visit store導線
・FIND A PRO
リフォーム関連の専門家を検索出来る機能。
キッチン、壁、ドアなどカテゴリ別や地域別に検索も可能。
サイトでの表記ではアメリカだけでも200万以上の専門家登録がされているようだ 。
本当にこんなに多くの専門家が存在するのか?
一部機関のリサーチではインテリアデザイナーの数は約4万人で、従業員、フリーランスの率は50%/50%。
空間デザイナーの数は約2.1万人で、おおよそ1/4がフリーランス。
http://blog.btrax.com/jp/2014/08/03/us-design/
という調査結果が発表されていた。
少し気になり色々とサイトを調べてみたが、どうやらいわゆる「自称専門家」も含まれているようだ。
▼実績投稿がない自称専門家も登録されている
一般ユーザーもマイページから自分のステータスを「PRO」に変更することが可能
であった。試しに私もPRO登録してみた。必要条件を記入していくだけで登録は完了した。サイト上のアルファベット順プロ一覧ペ ージには表示されなかったため、一定の条件を満たした人のみ表示されているの だろう。
・その他サイト上で気になった点
スマホでサイトにアクセスするとわかるがHouzzには「スマホサイト」というもの
が存在しない。サイトにアクセスするとPCサイトを閲覧するかアプリをダウンロードするかの2択 をせまられる。
自分にとっては初めてのケースだったので少し驚きであった。
■収益分析
売上自体の公表はないようだが、6年目にして時価総額2500億という事実と立ち上げから今日に至るまでの資金調達の歴史を見ると、市場からの期待の高さが見て取れる。
なにせ30兆円市場と言われている米不動産リフォーム市場だけに期待が高まるのも無理は無い。
Houzzファイナンス概況
シリーズA:200万ドル(2010.11)
シリーズB:1,160万ドル(2011.12)
シリーズC:3,500万ドル(2013.1)
シリーズD:1.5億ドル(2014.6)
月間ユーザー数は2014/1時点で1600万とTechCrunchが報じている。
http://techcrunch.com/2014/06/02/houzz-on-fire/
■最後に
現在日本のインテリア・リフォーム市場で戦っているサービスの全てがなんらかの形でHouzzから影響を受けている言っても過言ではない。
Houzzの価値はやはり、リフォーム市場に対して圧倒的な透明性をもたらしたこと
ではないか。筆者も何年かアメリカに住んでいた経験があるのでわかるが、アメ
リカ人にとってリフォームはとても身近な存在だ。
借り家だったとしても気分にあわえて壁を一面ペンキで塗り直す、といった行為
も珍しくない。
そんな巨大な市場にすら情報の非対称性が潜んでいた。
そこにメスを入れたことが彼らの功績であると考える。
日本にそのままの形で輸入してもあまりスケールするイメージはないが、現在iemoが日本風の解釈でHouzzを輸入している。
今後日本でも色々な新しいプレーヤーが登場すると思うが、衣食住に関わる最後のフロンティアの覇権を握る戦いに目が離せない。
Houzzの今後とあわせてウォッチが必要だ。
【後編】ウェディングパークビジネスモデル読解
前回の「ウェディングパークビジネスモデル読解:~VSみんなのウェディングパークで読み解く~ Part1」に続き後編。
前記事ではウェディングパークのビジネスモデルとお互いの特徴である口コミのサイト上での扱いの差異についてふれた。
今回はまず口コミの集まり具合をVSでチェックしてみるところから始める。
対象は2014/9/23時点Googleで「東京 結婚式場」で検索結果に表れた5つの式場。
偶然というにはあまりに似通った口コミの集まり具合。
もしかしたら人気式場に関しては口コミ数をお互いチェックしているのか?と
思ってしまったのは筆者だけだろうか。。。
また、みんなのウェディングが「投稿は300文字以上」というルールを敷いていることがどう影響しているかを調べるために、八芳園を対象に口コミ文字数をチェックした。
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2014/9/23時点での新着20の平均数。
この結果を見ると300文字以上ルールの影響力が強く、長文が集まりやすくなっている、ということもないようだ。
あくまでたった1つの式場を対象にした簡易的なリサーチなので断言は出来ないが。
ウェディングパークの強み
SEOトラフィック
強みの1つ目として挙げられるのはやはりサイバーエージェントを親会社にもつことによるSEO効果であろう。
同社としてばSEO専門会社にも引けを取らない(どころかそれ以上?)SEOに長けた会社であり、特に「結婚式場名+口コミ」の検索効果は圧倒的な優位性を持っている
とのことである。この点においては後日また改めて競合との比較を独自に行う予定である。
*1
企業文化
2点目として挙げられるのは企業文化。
親会社のサイバーエージェントといえば企業文化・制度充実に力を入れていることで有名であるが、その点については子会社であるウェディングパークでも同じであるようだ。
詳しくは下記のインタビュー記事から引用させていただく。
http://www.busipla.net/jinji/weddingpark_3.html
そして当社ではこれらの文化を、ビジョン、経営理念、行動規範などの形で言語化し、さらに「TRUTH」と呼ぶ、名刺サイズのカードに記載し社員全員が常備しています。(右写真参照)
ここでは、「幸せの追求」「永遠のフェア」「見極める力」「憧れになる」「日本をもっと豊かに」「世界へ」「強い翼」「導く力」「絶対に譲らない」といった、「NINE PIECES for HAPINESS 幸せのための9つのピース」が提唱されていますが、このように、ビジネスや経営の価値観の中心に、絶えず「幸せ」という言葉があること、これは働く者にとって非常に有りがたいことだと感じています。
具体的な社内制度として、当社らしさを最も表しているのは、「WPPJ(ウエディングパーク社内活性化プロジェクト)」でしょうか。
これは、お誕生日会・歓迎会・忘年会・新年会・お花見など社内の社員交流および活性化のための社内プロジェクトの呼称です。
社員一丸となって全国の結婚式場に営業にまわることが必要な同社にとってこうした結束力のあるビジョナリーな組織風土は成長の動力源となっているのであろう。
その他気になった点
個人的には2014年9月にリリースのあったウエディング業界特化型アドテクノロジー商品に興味がある。
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000010742.html
どうやらここ2年で10億が売上の目標であるらしく、所詮月間1000PVそこらのサイトに集まるデータだけを強みにどこまでスケールするのかが見てみたい。
http://markezine.jp/article/detail/20472
収益分析
現在の売上関連のデータは公表されていないため主だった数値を競合であるみんなのウェディングと比較した。
すべての数値が公表値というわけでなく、あくまで参考値にすぎないものあるのでご了承いただきたい。
サービスの課題と今後
やはり一番のテーマはみんなのウェディングとの戦い。
現状では口コミの集まっている量では両者ともに同レベルでしのぎを削っているように思える。
しかし量だけではなくもちろん質も問われる世界だ。
前述の通り相手は本人認証などの方法を用いて質を担保している。
こうした動きの背景には以前一世風靡したステマ問題があるのではないだろうか。
*2
どこまでいっても口コミとやらせはどこまでもつきまとうものである。
しかも結婚式のように高額な場合は架空の口コミを信用して意思決定の後失敗、というのはたまったものではない。。
そんな市場の目もあると考えてるとウェディングパーク側も今後何らかの策を講じる必要があるのではないかと考える。
ウェディングパークビジネスモデル読解:~vsみんなのウェディングで読み解く~ Part1
はじめに
本記事では前回の「みんなのウェディング」に続いて競合企業である「ウェデングーパーク」について取り上げる。
著者自信把握していなかったことであるが、ウェディングパークはみんなのウェディングに先んじて初めて大々的に「口コミ」に目をつけてサービスを拡大している。
本記事ではウェディングパークとみんなのウェディングを比較しながらそれぞれの違いや強みについて触れてみたいと思う。
目次
- ウェディングパーク沿革
- サービスの特徴とビジネスモデル
- 収益分析
- サービスの課題と今後
ウェディングパークの沿革
「結婚を、もっと幸せにしよう。」を経営理念に掲げているインターネットブライダルサービスのリーディングカンパニー。
1999年に創設された株式会社イー・ベントを
前身としており、創設当初は単純な結婚式場の仲介サイトであった。
上記は2004当時のサイトの様子。
情報掲載・資料請求がCVのポイントだったと予測する。
※Wayback Machineにて調査。
その後2004年にサイバーエージェントが買収。100%子会社となり現在に
至っている。業界内ではまだまだ普及していなかった「口コミ」という
概念を取り入れ大きくサービスを成長させた。
※ちなみに買収当時は売上がほとんどあがっていない状態で
あったようだ。
※株式会社イー・ベントの株式取得(子会社化)に関するお知らせより引用
https://www.cyberagent.co.jp/ir/news/pdf/2004/0209.pdf
サービスの特徴とビジネスモデル
・ビジネスモデルについて
として式場から課金している点が大きく異ると考える。
言ってみればウェディングパークの方がゼクシィ寄りと言ったところか。
また、サイトを見比べるとウェディングパークの方がアドネット系広告が多く、純広の獲得に苦戦しているのか?と感じた。
・サービスの特徴
サービス上の違いでいうと両者とも口コミが重要な要素である点に
ついては同じだ。
両者ともポイントサイトを利用して口コミを集めているようである。
しかし、みんなのウェディング側は近年口コミ投稿者の本人確認を進めている点で口コミの質を上げる努力をしているに感じる。
また、みんなのウェディングでは口コミだけでなく式場から提出された見積もりの投稿という機能もあり、よりユーザーの知りたいデータを集めているという点でサイトとしてすぐれているようだ。
サイトの構成を見ても口コミをより全面に押し出している。
▼みんなのウェディング
▼ウェディングパーク
デフォルトのタブは式場情報。
>>ウェディングパーク研究【後編】に続く(10/1公開予定)
「みんなのウェディング」のビジネスモデルに学ぶ 非対称性分野を破壊する徹底的なユーザー志向サービスの作り方。
売り手側には情報が多数あるが、買い手側は頻度が高く無い
買い物であるため、価格が高止まりしマーケットが柔軟性を失う。
こうしたいわゆる「情報の非対称性」が起きている分野は
ベンチャー・スタートアップ企業のターゲットになるケースが少なくない。
それまで消費者側が知り得なかった情報を徹底的にオープンにしユーザー価値を高めることで彼らは急激な成長を見込むのある。
実はこうした非対称性が残っている分野はネットが当たり前になった
今でも珍しい話ではない。
今回テーマに挙げさせていただくブライダル業界もその代表例の1つだ。
今回は、長らくユーザー志向が弱く情報の非対称性代表格である同業界に風穴をあけた「みんなのウェディング」を取り上げる。
■目次
1:みんなウェディング誕生の背景
2:サービスの特徴とビジネスモデル
├サービスの特徴
├ビジネスモデル
└その他
3:収益分析:どの位儲かっているの?
4:同サービスの課題と今後
みんなウェディング誕生の背景
冒頭でも触れたとおり、ブライダル業界は長く情報の非対称性が
残る業界であった。
筆者も今年2014年に結婚式を済ませているため実体験として
強く感じている。
例えばよくある話だが、ブライダルフェアでざっと見積もりをとると「あれ、意外と安い」という価格なのだが、後日色々とオプションを足していくと当初の倍近い価格になってしまう、という事は珍しい話ではない。
※また大概こうした金額のアップが本契約後都度後出しで
提示される。「もう既に準備はじめちゃったし、せっかくの晴れ舞台だから」という心理をつく営業スタイルなわけだが決して顧客視点にたったサービスであるとは冗談でも言いがたいと感じる。
そんなウェディング業界に風穴をあけたのが、「みんなのウェディング」である。
同サービスは2008年に株式会社ディー・エヌ・エーの新規事業として産声をあげ、
2010年にスピンオフし、株式会社みんなのウェディングが運営する、
結婚式場選びNo.1口コミサイトである。
サービスの特徴とビジネスモデル
・ビジネスモデル
ビジネスモデルについては株式会社みんなのウェディング社の
決算説明資料から抜粋をし説明をさせていただく。
図で示すと上記のようになっている。
※2014年9月期 第3四半期 決算説明資料より抜粋
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?template=ir_material_for_fiscal_ym&sid=11020&code=3685
上記のモデルが既存の会社と同異なっているのかを知るために,
ここである競合と比較をしてみる。
そう、みなさんご存知の通リクルートが運営する結婚情報誌「ゼクシィ」の
オンライン版であるzexy.netである。もはや結婚の代名詞的な存在にすらなっている
モンスターだ。
ゼクシィに限らずリクルートが主に採用しているモデルは
同社の強みである強力な営業網を利用し、広告掲載主を見つけて
リクルートが運営するメディアを通じて紹介をすることでFeeをいただくというもの。
もちろんzexy.netにも結婚式場に関する口コミは掲載されている。
しかし広告主からお金をもらって情報を掲載しているため、当然「良い」情報のみが
掲載されることになる。
そうなると
・雰囲気がよく参列者と一体感のある・・・
・お料理も美味しく、とにかく景色のよい・・・
といったどこにでも当てはまりそうな無難な褒め言葉が
並んでしまう。
しかしみんなのウェディングが目指したのは、そういった売り手本位な情報でなく
真にユーザーが求めている情報である。当然そこには「ちょっとここは残念だった」
という類のものも含まれているし、そうあるべきだ。
そこでみんなのウェディングでは、当初結婚式上のデータを登録し、
ユーザーからそこに対しての本音の口コミを募集した。
結婚式場側は掲載でなく、ユーザーの口コミに対しての返答などが出来る企業アカウントの 使用料として費用をいただく形式をとったのである。
※2014年9月現在では情報掲載に対する課金も行っているようだが、
ユーザーの本音口コミがメインコンテンツという点は変わっていない。
サービスの特徴
- ユーザーからの口コミは300文字以上に限定
- ユーザーの口コミに対して現金還元可能なポイントを付与
みんなのウェディングのサービス特徴としては上記の2つが挙げられる。
同サービスの価値は言うまでもなく口コミの質と直結する。
ましてや同サービスの場合投稿ユーザーに対してポイントを付与しているため
半端な質のレビューを書かれてはサイトを閲覧するユーザーにも、サービス運営者側もたまったものではない。。
そこで敢えて300文字以上というハードルを設けているのである。
そんなしっかりとした文章集まるの?という声が聞こえて
きそうだが、実際にサイトも見ると1000文字を超える投稿も見受けられる。
投稿ユーザーとしても自分の体験が誰かの役に立つという点に価値を感じて
いるのだろう。
ポイント還元については
・【口コミ】自ら結婚式を行った式場に対して・・・800ポイント
・【口コミ】参加or見積もりオンリー・・・200ポイント
・【見積書】最終明細書もしくは見積書・・・1000ポイント
となっており1000ポイント以上で1ポイント=1円で交換が可能。
その他QA掲示板などもポイント対象外であるものの、
多いものだと20返信以上あり賑わっている様子。
・その他マーケティングについて
>>ユーザー獲得チャネル
本サービスが成功するためにはもちろんコンテンツだけでなく
サイトを利用するユーザーを獲得しなくてはならない。
運営会社による発表では2014年5月段階で約300万人/月の閲覧者数、約1,600万ページ/月の閲 覧数を獲得しているようである。
ではどのようにしてそれだけのユーザーを獲得しているのか。
サイト解析ツールSimilarWebを用いて調査を行ったところ以下のようになっている。
※もちろん完全な正確性こそないものの
筆者の業界経験からいって現実に近いデータであろう。
流入のほとんどが検索エンジンGoogleからのものである。
この点について運営会社サイト上でもアピールしている通りのようだ。
https://www.mwed.jp/_inq1?typ=inb
一度上位表示を果たしてしまえば
検索連動型広告とは違い月々の出費がないことから
高い収益性を実現出来ているのであろう。
しかし試しに筆者が実際に当時検索に使った
「レストランウェディング 東京」というキーワードで
検索を行ったところ、競合に押され5位という結果であった。
もちろん上位表示がかなっているキーワード群とそうでない
ものがあるのであろうが、まだまだ今後の伸びしろはあるのだろうと
予測する。
この点については後日別途競合との比較調査の予定だ。
その他:各種アライアンス
詳細についての言及は割愛させていただくが
ベネッセと提携して「みんなのファミリーウェディング」を運営するなど
市場のニーズに応えるサービスの展開を始めている。
ベネッセの持つウィメンズパーク内でのアンケートを実施、たまひよ編集部が
コンテンツ作成、みんなのウェディングが式場の口コミコンテンツを提供という
スキームだ。
また株主にクックパッド社長の穐田さんが入っていることからもわかるように
同社はもちろんのこと、Yahoo!ウェディングやツヴァイ等とも提携をしている。
収益分析:どの位利益を上げているのか?
再び決算説明資料に戻ろう。
売上を見ると
2011年:307百万円
2012年:555百万円
2013年:1,011百万円
2014年:1,636百万円(予定)
とある通り堅実に伸びている。
また利益については以下の通りだ。
※2014年9月期 第3四半期 決算説明資料より抜粋
営業利益率は24%。
もちろんビジネスモデルが異なるため簡単に比較は出来ないが
(株)一休 51.9 %
ヤフー(株) 50.7 %
(株)ディー・エヌ・エー 42.1 %
(株)カカクコム 40.3 %
(株)ミクシィ 32.6 %
(株)ぐるなび 19.6%
引用元:http://www.itranking.net/opiratio.php
古巣含め上記上場企業達と並べると特に高くもなく、
低すぎないというラインだろうか。
ただし今度SEO強化→流入(ユーザー)獲得が進めばメディアパワーが増しより高い収益性を獲得することが出来るだろう。
また、現在彼らがネット上で公開している5800件超の式場のうち、有料掲載契約を結べているのは1300社程度なのでこの数字を見てもまだまだ今後の伸びしろがあると考えてよいのではないか。
今後について
以上色々と解説をしてきたが、やはり非対称性の残る本業界にメスを入れたという点で価値のあるメディアであることは間違いがない。
今後は
・ブランド認知の向上
・流入ユーザーの拡大
・潜在層の獲得拡大
を推し進めることになるのだろうが、
2014年から開始をするというECが個人的には気になるところである。
また同社の今後の方向性については決算説明資料の中の
下記の1スライドにまとめられている。
※2014年9月期 第3四半期 決算説明資料より抜粋
・情報の非対称性のある市場で
・女性のライフステージに関するサービス
を展開していく、とある。
もしかしたら「みんなの子育て」といったみんなのシリーズの
ヨコ展開があるのかもしれない。
広告収益には頼らない!?急成長中の「NewsPicks」の成功の秘訣とこれからを分析
はやりのWEBメディアやサービス、アプリの
ビジネスモデルや成功へのポイントを分析する本コーナー。
今回の分析対象は2013年9月に公開のニュースアプリ「NewsPicks」。
2014年6月現在もさらにユーザー数を伸ばしつぐけているようです。
どんなサービスなのか?
公式サイトにも記載のある通り、ニュースピックスは経済情報に特化したニュース共有サービス。
以下サービスローンチ時のリリースの引用です。
「NewsPicks(ニューズピックス)」は、国内外の 30 を超えるメディア各社が提供する経済ニュースを集約し、ユーザーが気になる経済ニュースを意見と共に他ユーザーと共有できるサービスです。 本サービスは以下 2 つの大きな特徴を有しています。
① 経済各紙をワンストップで閲覧
東洋経済オンライン、ダイヤモンド・オンライン、ロイター、現代ビジネス、IBTimes 日本版、 ギズモード、ライフハッカー等、 国内外の 30 を超えるメディア様のご協力の元、News Picks 上で
様々な経済ニュースをワンストップで閲覧する事が可能となります。
② 業界の専門家、友人等によるキュレーション
News Picks のユーザーは、業界の専門家や友人をフォローする事で、彼らが「PICK」(キュレーション)するおススメ記事から構成される、ユーザー独自の経済紙面を作成することができます。専門家は、
弊社に所属するセクターアナリストの他、実業界で活躍する事業家、大学教授、ジャーナリストなどに参加頂く予定です。
また、専門家や友人の他に、特定のテーマ(例:M&A、ベンチャー等)毎に関連するニュースを自動で収集するロボットもフォローすることで、より網羅性、速報性の高いニュースも取得できます。
アプリを使ってみるとわかるが好きなテーマとフォローする人を選ぶだけで自分専用の紙面(タイムライン)が出来上がり。非常に便利で使いやすいUIです。
サービスの特徴
・著名人が数多く参加している
記事をキュレーションしている人を見てもホリエモンやドワンゴの夏目さんなど業界有名人が多い。
この類のサービスはどれだけDAUを増やすことが出来るかがポイントだと思うが、
その中に占める著名人・有識者の割合が非常に多い。
・もはやコメントがメイン
また、個人的にはニュースピックスの一番の特徴だと思っているのが、
「皆のニュースに対するコメントが充実している」ことである。
世間一般が知りたいのはニュースの中身よりも世間のニュースに対する反応。
といったところだろうか。
IT系のニュースであればホリエモンを始めとしたネット業界の有識者などが
それに対し各種コメントを寄せている。ゆーざーとしてはその意見を参考に自分の
スタンスを形成することが出来て非常にありがたい。
ビジネスモデル
ビジネスモデルは下記の通り。
※1 メディアからすればNewsPicksは自社サイト流入のきっかけになる強いチャネルなのでコンテンツの提供費用は発生していないor格安?(筆者推測です。)
※2 有料コンテンツについても上記と同じ理由で割安なのではと予想します。
その他多くのメディアと異なり彼らは広告収益に依存した収益体制を嫌っています。
→詳しくはこちらのインタビュー記事にゆずります。
(アプリマーケティング研究所)
- 2014年2月から始めている月間1500円の有料会員
- 今後予定をしているネイティブアド
の2つを収益の柱にしていく予定とのこと。
プロモーション
ニュースピックスが行ったプロモーションは主に下記の2つです。
1.識者に対する個別アプローチ
サービスの特徴でも述べた通り本サービスの特徴は
有識者によるキュレーションです。
そのためどれだけ多くの識者に参加してもらえるかがサービス成功のポイントです。
代表の梅田氏いわくサービスリリース時に
インフルエンサー一人ひとりにアプローチしていったそうです。
面識がなかった人に対してもメールでアプローチしていったそうです。すごいですね、、。
そもそも本サービスを提供している株式会社ユーザベースは
法人向けに企業情報を提供する「SPEEDA」で認知されていましたからそういった意味では完全にゼロからのスタートアップ企業とは状況が違ったかもしれません。
2.東洋経済にブランドコンテンツを出稿
↓この記事ですね。
メディアの民主化が加速する | ブランドコンテンツ | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト
見込みターゲット層を多く抱えるメディアなので功を奏したようです。
これきっかけでメットメディアなどに広く露出していったとか。
みなみに東洋経済の媒体資料(PDF)を見るとブランドコンテンツは200万円から、ということです。記事提供関係がありましたからもう少し抑えた価格で出稿してもらえたかもしれませんね。
グロースハック
グロースで実施したことでいうと
当初記事のタイトルと画像だけしか表示していなかったタイムラインに記事に対するコメントを1つ表示させるようにしたそうです。
それでアクティブユーザー率が上昇したのだとか。
ニュース記事に対するコメントを重要視しているスタンスが明示できたという点でもよいグロースです。
成功への鍵
これは上記のインタビュー記事で代表の梅田氏が発言している内容ですが、PV市場主義を脱しコンテンツで勝負するのであればやはりお金を払う価値のあるコンテンツ編集力があきらかに重要。
氏いわくニュースピックスでもオリジナルの記事を作成していくとのことだが、取り急ぎは既存ニュースメディア等とのwin-win関係を強化することがポイントではないでしょうか。