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色んな会社のビジネスモデルを調べるブログ

老舗メディア「オールアバウト」のビジネスモデルを研究してみた

■はじめに

2015年現在、WEBメディアに関わる仕事をしている感じるのは、「タレント(才能をもった個人)の囲いあい」が始まっているということです。
その分野に詳しい・もしくは経験のある個人を囲い、コンテンツ作成者としてメディアのビジネスモデルに組み込むことがメディアとしての成功要素の1つになっているとすら感じます。

そんな中ふと個人的に思い出した、というか急に気になりだしたのがオールアバウト。元祖個人を囲う型メディアですね。

もちろん前々から会社(メディア)としては認知していましたが、しっかりと分析したことがなかったのでこの機会に少し詳しく調べてみました。

■オールアバウトとは?

もともとはリクルートと外資との合弁会社です。
All About(オールアバウト)は、株式会社オールアバウトが運営する生活情報サイトである。

2001年に株式会社リクルートとアメリカ合衆国のAbout Inc社との合弁会社として運営をスタート。

 引用元:http://ja.wikipedia.org/wiki/All_About

12年後の2005年09月に株式上場し、以来7年間上場を維持しています。オールアバウトは大日本印刷系のグループに属し、自身も子会社2社でオールアバウトグループを構成しています。

株主には大日本印刷株式会社(32.07%)と株式会社リクルートホールディングス(29.96%)とヤフー株式会社(19.88%)が名を連ねています。

 引用元:https://kmonos.jp/2454.html

 

・1000名近い専門家が1300を超えるジャンルで執筆

AllAboutは各業界の専門家(ガイド)がつくり上げる総合情報メディアです。
各業界1人を原則として専門家を囲っており、2015年3月現在で、総勢890人の専門家が1300を超えるテーマで執筆。累計15万本以上の記事を書き上げてきたとのこと。

記事数的にはnanapiの1.5倍位でしょうか。

その分量をクラウドソーシング的でなく丁寧にお金をかけてつくったと思うとすごいですね、、。

閲覧数に関しては決算ハイライトから引用させていただきます。

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※平成27年3月期第2四半期決算説明会資料より抜粋。

 

現在では月間2億以上のPVがあるようです。
何と言ってもその専門家ネットワークが強みで、各専門家がライティングしたコンテンツを社内編集部が調整し、Allabout及び、姉妹サイトであるターゲット特化型メディアのFORMforF等に掲載していいます。

 

■オールアバウトのビジネスモデル。マネタイズは広告収益。


同社のビジネスモデルを図解すると下記のようになります。

 

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私は個人的に勘違いをしていたのですが、コンテンツの執筆主であるガイドに対しては報酬が支払われてるんですね。
元関連サイトの専門家プロファイルは専門家から課金でしたのでちょっと混じって考えていました。

報酬に関しては随分古そうな情報ですが、下記のサイトに記載がありました。

 

 基本業務委託料:3万円/月

 インセンティブ:3ヶ月ごとに評価

 ガイドの報酬は、3万円+αというわけですね。

 引用元:http://directory.e-kurage.com/allabout2.htm


広告主に対しての提供メニューは色々とあるようです。
純広告やタイアップ記事などのオーソドックスなものから、


・スポンサードサイト・・・広告主のオウンドメディアをAllAboutが製作・運用


なども取り扱っています。

コンテンツマーケティングが盛り上がってきた今でこそよく見るタイプの広告ですが、10年以上前からこの取組をしていたと考えるとなかなかうまいなと感じます。

■財務諸表分析。営業利益率は脅威!?の3%弱。

個人的には非常に意外だったのですが、同社の利益率は非常に低いです。
メディア企業としてはかなり珍しい数字なのではないでしょうか。

 

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※第23期第3四半期四半期報告書を参考に筆者が作成

 

ガイドに対しての報酬や編集体制、広告営業体制等が重いのでしょうか、、。

 

■今後のオールアバウトはビジネスモデルの転換を余儀なくされているのでは?

上記でみたように同社は利益率が低く、圧迫しているのは丁寧な編集体制であると予想します。
つまりコンテンツを作り出す上でのコスト構造を変えない限りはドラスティックな結果は得られないと考えられます。

サーチだよりであったトラフィックを提携メディア等から増加させるためのまとめ記事の取り組みもあるようです。ゼロから記事を書くのよりは随分ましなのでしょうが、それでもやはりコストのかかる作業でしょう。

現在WEBメディア界隈では元オールアバウト編集長さん達が各種流行りのメディアの編集長として大活躍している例をよく目にします。

そんなWEB編集人財輩出会社であるオールアバウトですが、今後何か大きな転換はあるのでしょうか。個人的に気になるところです。